03



荒れていた心も、放課後を迎える頃には
平静を取り戻していた。


彼はあれから教室に戻らなかった。
あんなことがあった後だ、
会わなくていい、会いたくない。

まとめた荷物を持って教室を出た。




「何もたもたしてんだよ、あァ?」

「う、わぁ!!」




肩にかけたカバンを後ろからぐいっと引かれ、
呼んだ彼の腕の中に……
なんてロマンスは無く、
よろけた足が絡まり、
べちゃっという音を立てて
廊下に尻餅ついた。

彼にカバンを引っ張られたままだから
側から見たら引きずられてる奴みたい。


我ながら情けない姿だ。
こんな姿を見た彼は どんくせーな、と
いいながら、私のカバンを
ぐい〜〜っと引っ張って
無理矢理私を立たせようとする。

痛い痛い、肩もげちゃいそうだよ。



「…家まで送ってやる。」


「え…いや、私、…あの、
これから部活…なんですけど……」


「関係ねぇ、部活なんざサボれ。」




数時間前、一緒に帰れと言っていたのは
本当だったのか。
返事はしていないのだけど…

断れない私も悪いのか。
先生、先輩、ごめんなさい。

こんな怖い人に逆らうのは無理そうです。


返事をしない私をよそに歩き出す彼。
どうしたらいいのかわからず佇む私に、
振り返ってただ一言、
来いよ。それだけ。



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