女装男子 | ナノ
女装男子、会話する。

「…はな………よ」

「お…が………」

頭上で誰かの話し声が聞こえて、意識が浮上してきた。寝ようと思ってたけど、本気で寝てた。どんくらい寝てたかなと思いながら、顔を上げれば

「「あ」」

赤髪の人と黒髪の人が目の前で取っ組み合いしていた。














「えーっと、僕の名前は立白一。よろしくね」

「俺は鬼塚拓麻だ、よろしく」

黒髪の立白くんと赤髪の鬼塚くん。立白くんは物腰柔らかそうでいい人って感じ。まぁ、絶対不良なんだろうけど。鬼塚くんはそのまんま。苗字の通り"鬼"って感じ。髪色からにして赤鬼だけど、何ていうか荒々しい気性をしてそう、顔からにして。
それにしても、この人たち俺のこと見すぎじゃないか。怖くて俺の目線は机に向かってるけど、二人の視線が刺さる、刺さる。

「……あ、あの」

「ん?何かな、飛鳥ちゃん」

「俺に何か用ですか…?」

「…本当だ、涼太さんが言うように一人称俺だ」

「可愛い顔してんだから私にしろよ」

「いいんです、かっこよくなりたいんですから」

「「ぶっ」」

こいつらシバいていいかな。お互い顔を合わせて噴き出すとか喧嘩売ってるよね?、そうだよね?。勝てる気はしないけど買いますよ、ん?。って気持ちが伝わったのか立白くんが笑いながら謝ってきた。反省してないなとか思ったけど、謝ってくれたから許そう、隣の赤髪は未だにひーひー言いながら爆笑してるから許さん。

「でも、拓麻の言う通り可愛いんだから、俺って似合わないよ」

ふふっとさも当たり前に言うから、微妙に傷ついた。でも、一人称を私にするのは絶対に嫌だから首を横に振る。まぁ、相手が何言おうと俺は俺だし、自分の気持ちを貫きますよ。

「んー、でも涼太さんはこのギャップに弱かったのかな」

「涼太?」

「…飛鳥ちゃん、もしかして涼太さんが呼び捨てにしてとか言ったりした?」

「え、うん?」

涼太を呼び捨てにするのはいけないことなのか。立白くんはさん付けだし。偉い人なのか…もしかしてボスとか?。確か涼太の髪色は黒。そして、立白くんも黒。そんでもって、先生は言っていた、このクラスにBLACKのボスがいると。

一気に血の気が引いた。

もしかして、もしかしなくても俺はやばい人物に好かれたのか…。

「涼太さん、やること早いなー。あ、僕も呼び捨てでいいからね。隣でまだ笑ってるバカも」

「はっ!?、一、バカってなんだよ!、ばかって!」

「拓麻のことだろ」

と、目の前で再び二人が争いだした。けど、俺はそれどころじゃない。意味わからない、隣がボスで、しかも好かれてるし!!。先生もあんなに俺が不良が好きじゃないと分かってるはずなのに、隣に座らせるとか!!。

………怖いけど、好かれたってことは考えを変えればいいことかもしれない。だって、嫌われたらパシリになるかもしれなかったし、殴られたりしたかもしれない。でも、好かれたら、そんなこと早々起きないと思う、うん。なら、一時的に安全じゃにのか。男に好かれているって現実に目を背ければだけど。

「おーい、飛鳥。ぼーっとしてんな」

と、突然頭に軽い痛みが。えっと思い、目線を上げれば鬼塚くんの顔。

「ひっ……お、につかくん」

「叫ぶなよ。つか、名前でいいって一が言ったろ」

「え、あ、いいの?」

「おー、俺も呼び捨てだし」

「涼太さん、怒りそうだけどチーム違うしな」

「あいつ、心狭そうだしな」

「あ、あの一くん、拓麻くん」

と、名前を呼べば二人と同時に俺を見てくる。息ぴったりだなとか思いながら、気になることを質問。

「二人ともチーム違うの?。あと、涼太ってボスだったりする?」

二人は顔を見合わせぷっと笑い

「俺がCOLORで、一がBLACKな。笹野から聞いてなかったのか」

「んん、聞いたけど、違うチームだから仲良くないと思って」

同じ学校に二つの大きなチームがあるから、顔を見合わせたら喧嘩ってくらい仲が良くないと思っていた。でも、この二人、じゃれあうように言い争いしてるけど殴ったり蹴ったりとか喧嘩はしてないから、チーム同士仲はいいのかなと思った。

「んー、仲いいかは分かんないけど、お互い不干渉って決め事があってね。嫌でも敵対するチームの顔を見るから喧嘩ばっかしてたら学校生活をまともに過ごせないでしょ?」

「う、うん」

「だから両チームの先代たちが不干渉のルールを作ったの。たいそれた事をされない限り喧嘩はしないって。破ったらチームから脱退」

「あー、脱退ってのは退学な」

「退学…、結構重要なルールなんですね…」

というか、不良がまともな学校生活を送りたいって思ってるのが凄いと思う。どんだけ昔、喧嘩ばっかしてたんだよ。でも、大きなことがない限り喧嘩しないなら、普通に過ごせそうだ。それは有難い。

「あと、涼太さんが総長かってだよね。うん、涼太さんが僕たちBLACKの総長だよ」

「つか、あいつの雰囲気的に総長だろ。まぁ、俺たちの総長の方がすげぇけどな」

「は?、涼太さんの方が凄いよ」

「あ?」

また二人は睨み合いが始まったけど、やっぱり涼太がボスだったんだなって事実に遠い目をするしかなかった。






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