女装男子 | ナノ
女装男子、状況を聞く。
寝坊して職員会議に間に合わなかった屑先生とHRが始まるまでの時間を一緒に過ごす。俺としては嫌々だけど、職員室から出ても行く所なんかないから大人しく過ごすことにした。先生の隣の席を借りて。いやー、この椅子の硬さ加減がいい感じですね。
「でもまぁ、こんな学校によく転校してきたな」
「色々事情があるんですよ」
「先生に教えてみ」
「女の子には秘密が沢山あるんですよ。教える訳ないじゃないですか」
「つまんねぇ」
舌打ちをし、煙草を吸い出す先生。職員室って禁煙じゃなかったけとか気にしないことにした。でも、父さんの陰謀で女装までしてこの学校を救おうとしてるんですとか言えるか。この人が助けてくれるとは限らないし、面白そうとかほざいて面倒な事になっても困る。
というかこの学校がどんな状況なのか気になる。
先生なんだから基本事項くらい知ってるだろう。
「恭也先生、質問してい」
「おぉ、なんだ」
「この学校の事教えて。不良がいるって事しか知らないから」
「あー……。全校生徒のうち飛鳥と同学年にいる月代って奴以外は全員男で不良だ」
「へぇ、月代さん」
じゃあこの人がお金持ちのお嬢様か。後、最終目的の人。というか、不良しかいないって聞いてたけど、本当にやばい位の不良率だな。俺、大丈夫かな。もうチビリそうだぞ、この野郎。
「そう、月代。いい奴だけど俺の好みじゃないな。俺の好みは飛鳥だから」
「キラキラな顔向けられても嬉しくないです」
「嬉しがれよ」
「無理」
即答かよと先生は笑うけど、こんなに馬鹿にして嬉しそうとかどMなのかなって思う。もうそれ、危険人物から変態に格上げだよ。
「あと。不良だけど主に二グループある。BLACKとCOLORだ」
「何ですか、チーム名ですか?」
「正解」
BLACKとCOLORか。何かどこにでもいそうなチーム名だな。
「見分け方は髪の色な。黒髪はBLACK。他はCOLORだと思え」
「何とも単純。因みにボスはこの学校に?」
「いるぞ。三年の生徒会長がCOLORのボス。BLACKは…」
と先生は苦虫を潰したかの様な顔をする。何かやばい人なのか。いやでも、生徒会長がボスってのもやばいと思うんだけど。首を傾げて先生の言葉を待っていると、先生は一つ溜息をついて
「俺のクラスにいる」
「…………先生のクラス……俺と同じ?」
「おう。クラスメイトだ」
先生は素敵スマイルで親指をグッと立てた。
思わずグーパンチで殴ったのは仕方ないと思って下さい。
「愛が痛てぇよ、飛鳥」
「愛なんか込めてません。殺意100パーセント仕込です」
先生は頬を抑えているがそれどころじゃない。同じクラス?、なるべく不良とは関わらずに生活して月代さんと仲良くなる手はずだったのに、もうプランが破壊されたわ。一撃だよ、こんちきしょー。
「まぁ、いい奴だから気にすんな」
「気にします。俺、か弱い女の子ですから」
「か弱い女の子なら拳で殴ってこねぇよ」
あー、俺の安全ライフは消えたか、とほほほ。