女装男子 | ナノ
女装男子、危険人物?に会う

「愚痴聞いてくれるなら、今日部屋に行っちゃおっかなー」

「今日は片付けなきゃだから今度」

「ちぇー。あ、じゃあ夕飯一緒に食べよ」

「んー、分かった。とりあえず部屋分かんないから、寮でまた話そ」

「そーだね。とりあえずこの階が最後の案内ね。ここには生徒会室と風紀委員室がある。はい、帰ろ」

「うわっ」

案内もそこそこ涼太は俺の手を引っ張り、登ってきた階段を降りようとする。この階、四階は危険なところって聞いていたけどそんなあからさまに避けるほどなのか…。風紀委員室に誰がいるのかは知らないけど、生徒会室にはCOLORの総長、生徒会長がいるのは知ってるけど、問題を起こすなって指示してるくらいだし、まともな奴だと思うんだけど。
パタパタ降りてく涼太を追うように、俺も急いで降りてく。あわわ、足がもつれそ!。

「ちょ、涼太!転ぶ!」

「あー、ごめんごめん。急ぎすぎたね」

そう言えば、案内してた時と同じスピードに戻った。階段で転んだら大変なことになるから、よかった。
ふぅと一息ついたら、

「いるのは分かってんだから、隠れてねぇで出てこいよ」

「へ?」

涼太は俺の背後、さっきまでいた四階にあった防火扉の方に向けて言った。
え?え?どういうこと?。

「出てこねぇなら行くからな……飛鳥、行こ」

「へ?あ、うん」

再び階段を降りようとしたら、

「隠れて悪かった。BLACKの総長、転入生と話をさせてくれ」

防火扉の影から金髪に黒のメッシュを入れたイケメンが現れた。
…………この学校、イケメンしかいないのか、男の敵ばっか!。








場所が変わって、新校舎の一階にあった食堂。金髪メッシュのイケメンはここの生徒会長らしく、ビックリした。でも、その驚きを隠す前に涼太に腕を引っ張られ、ここまで連れてこられた。因みに会長は俺の背後を無言で付いてきた。ただ、恐ろしかった。

「んで、俺の大事な大事な親友、飛鳥に何の用」

「お前には用はない。どっか行け」

「はぁ?俺がいないと飛鳥が教室に戻れないじゃん」

「安心しろ。俺が連れてく」

「かいちょーさんは仕事してろ」

向かい同士に座ってる、涼太と生徒会長。バチバチと火花が見えるのを気のせいだろうか……気のせいじゃないな。涼太の隣に座ってるが、なるべく小さく小さく縮こまってる。

「チッ、まぁいい。静かにそこに座ってろ」

「静かに座ってるかは約束しねぇけど、言われるまでもねぇわ」

「………おい、転入生」

「はっはい!!!」

唐突に生徒会長に声をかけられた。ばっと顔を上げたら銀色の目が俺を見ていた。この人、カラコンしてんのかな?。綺麗な目をしてる……と現実逃避をしながら、ビクビクしながら言葉を待つ。

「何でこの学校に転入してきた」

「…………へ?」

予想もしてない言葉をかけられ、少々困惑。
会長はそういうことも気にするのか?そういうものなのか?。

「………俺に同じこと二度も言わせるな」

「は、はい!すみません!!。え、えっと、親のつ、都合で………」

「両親の職業は?」

「へ?……じゃなくて、母は専業主婦です!。父は……えっと」

「なんだ、言えないのか」

「あ、えっと、そういう訳じゃないんですけど……はっはは」

この学園の理事長ですとか言えるか。
転校が必要になるくらい引越しの多い職業ってなんだ?そんな質問が来るとか想像もしてなかったから、考えてもなかったわ!。

「さっさと言え」

「………あの、その、この質問なんなんですか……」

「は?」

「すみません!!!!」

総長レベルの睨みは怖かった。
謝罪を込めて頭を下げたが、机にぶつけた。ガツン!と食堂に響いた、くっそ、痛いけど俺の命の方が大事だった。

「飛鳥、大丈夫?」

ぽんぽんと頭を撫でられたけど、顔をあげられない。上げて、まだ睨まれてたら本気でちびる。

「かいちょー、裏切り者かもしれないからってこんな面談する必要ないと思うんですけど」

「どういうことだ。芽は早めに摘んだ方がいいだろ」

「それはそーかもしんねぇけど、パッと見こんなか弱そうな女が殴りかかってきても勝てるっしょ?」

「………周りを巻き込んだらそうもいかん」

「今日一日飛鳥と一緒にいたけど、媚を売るどころか怖がってましたけど?。飛鳥、不良怖い?」

「えぇ、もちろん………いや!違くて涼太は怖くないから!だから、睨まないで!」

素直に答えられたらぎんっと睨まれ、右手が粉砕するんじゃないかってくらい握りこまれた。

「四辻、脅しかけてないか?」

「何の事だか?」

「………はぁ、転入生」

「えっと、はい」

恐る恐る生徒会長と目を合わせたら、さっきみたいに怒りの感情は見えない瞳を向けられた。

「不良は怖いか、仲間になりたいと思ったことは?」

「………素直に言えば、怖いです。でも、不良の中でも涼太とかクラスの友達にいい人がいるって分かったので最初よりは怖くないけど……。後、仲間にはなりません。喧嘩嫌いなんで」

最後の言葉はちゃんと言った。
迷いなんかない。仲間になんかならない。喧嘩は嫌い。
それにこの学校に入った理由は仲間になる事なんかじゃなくて、月代さんと友達になることだ。

生徒会長は俺の言葉をどう受け取ったのか分からないが、小さく息を吐いた。

「……なら、先程の非礼を詫びよう。済まなかった」

生徒会長は小さく頭を下げ、謝罪してきた。

「へ?非礼?……いや、答えられなかった俺も悪いですし、裏切り者がいるって話は涼太から聞いてたんで……仕方ないですよ。だから、謝らないでください」

「…………ありがとう」

会長は頭を上げ、綺麗に笑った。
イケメンは笑ってた方がやっぱりいいよなとしみじみ思う。

「飛鳥優しいね。こんなムカつく奴、一発殴ってもいいと思うけど」

「俺、喧嘩嫌いって言ったじゃん」

「………転入生、自分のこと俺と言うのはどうかと思うぞ」

「……ほっといてください」

会長から哀れみの視線が飛んできて、凄く泣きたかった。





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