女装男子 | ナノ
女装男子、早速授業をサボる。

本当に、実に自分が情けない。距離を取る事は早々に諦めていたけど、まさか超危険人物の親友を承諾してしまうとは実に情けない、遺憾である。と、後悔はしているが、未だに涼太に握られていた手はジンジンと痛む。これは防衛反応として、頷いてよかったんだと思うと、後悔を水に流す。もう隣の席になった時点で全てが終わったんだよ、きっと。

「と言うことは、全部恭也先生が悪いじゃん」

「ん?、飛鳥何か言った?」

「ううん、別に!」

思わず口が滑った。でも、全部隣の席にした先生が悪いよな。もしこのせいで俺が危ない感じになったら、先生からまず慰謝料とかふんだくろう、うん、決めた。

と、自分の懺悔を取りあえず先生の責任と丸投げをしたが、

「涼太、いつまで俺は涼太の膝に乗っていればいいんだ」

「俺が気が済むまで」

「因みに何分頃?」

「んー、わかんないけど流石に下校の時は離してあげるね」

って言うことは、後五時間以上はこのままってことか。……馬鹿か。

親友宣言(無理矢理)を行ってから、涼太は俺を抱き上げ、隣の自分の席に座り、俺を膝に乗せたまま拓麻くんと一くんに普通に話している。あまりにも流れる作業だったから、抵抗と言う抵抗はできなかったけど、状況を理解して降りようともがくとがっちりホールドされてた腕に力を込められ身動きすら取れなくなった。
腕を引っ張ってもびくともしない。しかも、腕を引っ張ったのが気に食わなかったのか、顎を掴まれ上を向けられた。当たり前だけど、上を向けば涼太の顔が視界一杯に広がる訳で

『飛鳥、大人しく、ね?』

と、にっこり笑われては怖くて無我夢中に首を縦に振ったね。
怖いもあるけど、会った時から言ってる通りに涼太のフェイスはイケメンな訳で。うん、恥ずかしいよね!。


間近にイケメンの顔がある事は恥ずかしいが、其れよりこの体勢も羞恥に値する。目の前に立つ二人の向こう側にいるクラスメイトは俺を指差して何か話しているし。きっと"この年にもなって膝の上に座るとか、プギャー"とかだろ……、自分で言って悲しくなってきたわ。違うからな、自分で座りたくて座ったわけじゃないからな!!って言えたらどれだけ楽なんだろう。
両手で顔を覆い、落ち込んでいたら

「飛鳥ちゃん、どうしたの?」

と、天からの声及び一くんの声。遅れて涼太が心配そうに声を掛けてきたが、俺が落ち込んでいる元々の理由はこの人にある訳で心配されても困る感否めない。
両手を離し、前を向けば心配そうに見つめてる一くんと拓麻くん。不良だけどこういう事されると不良にもいい人はいるんだなぁとか思う。

「何でもないよ、大丈夫」

何でもなくはないけど、何言っても涼太は離してくれる事はないだろうから、一応大丈夫と伝える。諦めも時には肝心だよなぁと前の学校で学んだことを思い出す。

「飛鳥、何かあるなら言ってよ?」

「大丈夫だよ、眠いなって思っただけだし」

怪しんでくる涼太を交わす為に適当に嘘を付いた。

「まぁ、さっきまでお前寝てたしな」

「そうだったね。今に授業終わるし、休み時間寝たらいいよ。多分涼太さんが起こしてくれるだろうし……ね、涼太さん」

「起こしてあげたいけど、次サボるから俺いないよ」

「そうなんですか?」

意外に涼太はサボり癖があるようだ。さっきもどこかに行ってた様だし。まぁ、不良だから真面目に授業に出てる方が俺は怖い気がする。

「あ、飛鳥良いこと考えた」

ぐいっと再び顎を上げられ、涼太の顔が目の前一杯に広がる。
キラキラとした目で俺を見てくるが、嫌な予感しかしないのは俺だけだろうか。後、一々顎を掴むな。

「いい事って?」

「俺と一緒にサボろう」

「は?」

本当にいい事ではなかった。一くんなんかため息ついてるよ。

「俺も其れに賛成」

「え、拓麻くんも」

と、新たに拓麻くんの賛成票が入った。まともな人だと思ったのに。一くんしいないのか、常識人は。
転校早々授業をサボるのは流石に駄目だろうとジト目で涼太を見つめていたが、頬に涼太の両手が添えられ、より恥ずかしい格好になった。"ないわ"と伝える視線を送ったのに。

「涼太さん、飛鳥ちゃんは転校して来たばっかなんですから、先生に挨拶した方がいいと思うんですけど」

「うん、俺もそう思うんだけど…。涼太だけサボればいいよ、俺は授業受ける」

「うーん、でも飛鳥いいの?」

「何が?、眠いのなら大丈夫だよ?」

「ちげぇよ、この学校案内して貰わなくていいのかって」

「へ、学校案内?」

「うん、サボる序に飛鳥に学校案内しようかなって。早いほうがいいし、案内なら先生も文句言わないだろうし」

意外に俺のためだった事に驚き。遊ぶからサボれ系だと思ってたから、不意を突かれた気分。でも、"いいの?"だけで案内には結びつかないぞ、拓麻くん。

「でも、案内だけなら昼休みとかでもいいんだけど」

「トイレの場所とか分かる?。後、総長しか入っちゃ駄目な所もあるし、危険な所もあるよ。もし入ったらボコボコにして犯さr「涼太、一緒にサボろう」飛鳥ならそう言ってくれると思ったよ」

ふぅ、危ない危ない。変な所に入ったり、迷うのはよくないもんね!。
良い様に流されたけど、きっとこの案内は自分の今後に関わると思っていこう。でも。早速サボっちゃったなぁ。





そういえば、俺って女子トイレに入らなきゃいけないのか………。






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