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おやすみなさい
ななな様からのリクエストです。
オリジナル小説となります。
少々強姦紛いな描写があります。地雷の方は気をつけてください。本当にぬるい描写です。
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俺、錦 綴(にしき つづる)は、山奥にある男子高校に通う不良である。自分自身不良になった訳ではないが、喧嘩は好きである。顔が強面のせいか絡まれることが多く、それを対処するための喧嘩の仕方を覚えたが、意外にもスカッとして好きになった。でも、無暗に喧嘩したりはしてない。絡まれたらするだけだ。所謂正当防衛ってやつ。
でも、正当防衛って言っても不良に近づいてくるのは不良のみで、友人も不良ばかりだ。別にあいつらのことは嫌いでもないが、たまには不良ではない奴と話してみたいとも思う。甘いもんばっか食ってたら、しょっぱいもんも欲しくなる。
まぁ、山奥すぎて俺の高校では錦綴は不良だっていう話は広まってるから、不良じゃない奴が話しかけてくる訳ない。少し寂しく思うが、友人が居ないわけでもないから日々我慢してるのだ。
「つーづる、どこ行くんよ?」
「寝る」
「また何時もの場所か―?。俺も連れてけよ」
「やだ。おやすみな」
「ちぇー。ま、いってら」
友人の林は唇を尖らせて俺を見送る。どんなに拗ねたって俺のお気に入りの場所に連れて行く気はない。あそこは俺の癒しスポットでもあるから、林みたいに五月蠅い奴が来たら癒されないし、寝れなくなる。それは困る。
ガシガシと頭を掻きながら、眠たい頭を起こす。あと少しで思いっきり寝れるのだから、もう少しの我慢だ。眠すぎて半目で歩いていれば、廊下を歩いていた生徒が悲鳴を上げながら走って行く。そんなに怖い顔してるのか……、林も俺が眠い時の顔はヤクザの顔と言っていた気がする。まだ高校生の俺が堅気な訳がないと言っても、強面の顔に奴が何言っても信じてもらえないだろう。
「……はぁ」
眠たい。
*
ガチャとガラス張りのドアを開ければそこは花畑。すっげぇファンタジーみたいなことを言ってるが、実際花畑の様な景色が広がってるのだ。俺のお気に入りの場所、温室はガラスでできており、太陽光がキラキラと光っている。そして、一面花と木々で覆われているのだ。どの花も生き生きとしており、一輪も枯れてない。花について全く知識のない俺でも凄いなと思わせるくらいの圧巻ぶり。花畑っていうのが正しいと思う。
「今日もすげぇな、ほんと」
パタパタと足音を鳴らしながら、俺が向かう所はただ一つ。温室の中心にあるベンチだ。太陽の光がこれでもか!と差し込むため温かく、周りは花に囲まれているからいい匂いがするのだ。こんな綺麗な場所を林に荒らされたくないってのもあいつに教えたくない理由の一つだ。
ベンチに座り、早々と横になる。
「あー、楽園」
眩しいくらいの太陽光を手で遮り、目を閉じる。そしたら、風邪で踊る花の音しか聞こえない。静かで、飛んでいった眠気が帰って来た。
「…お、やすみ」
俺以外いないのにそう誰かに声をかけ、俺の意識は闇に沈んだ。
『ガチャ』
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