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郁 said
ここは天国か、俺は深く深くそう思う。
まぁ、まだ死んでないから天国じゃないく俺たちの縄張りでもある風紀委員室に俺と委員長、そして委員長の弟さんである那智先輩がいる。風紀委員室に設置してある長い黒のソファに俺が一人座り、お向かいに委員長と那智先輩が仲良く座ってらっしゃる。
イチャイチャとケーキを食べながら。
「Here is heven!!!」
「神凪、五月蝿いぞ」
思わず叫んでしまった俺を叱る委員長は冷たーーい顔を向けて来る。いや、もうそんな目を向けてくる委員長が鬼畜すぎてご飯三杯いける、鬼畜攻め最高。あ、でもあえて誘い受けでも良き。
とか、そんなこと考えてる間に再び委員長は那智先輩とイチャコラ。
「那智、ゆっくり食べなって。あー、ほら、口にクリーム付いてるよ」
「……う、ごめ、んさい」
「謝らなくていいからゆっくり食べようね。誰も那智のケーキ取らないから」
「…ん。にぃ、あー、ん」
「ん?くれるのかい?。ありがと、あーん」
眼福。
何時もキリッとしてる委員長の顔から想像出来ない優しーい顔を那智先輩に向けてる。この表情、隠れ親衛隊の人たちも知らないんだろうなー、まぁ俺は絶賛みてるし、隠しカメラで撮影中だから、うん。
那智先輩も、ショートケーキ食べてる姿がもう天使。何だろ、うん天使(語彙力低)。
俺も委員長から貰ったチーズケーキ食べてるけど、元々は委員長が那智先輩のために買ってきた品らしい。部下にやるつもりはない辺りの鬼畜さが俺は好きです。
じゃなくて、そのケーキを何で俺が食べてるかって言うと、那智先輩が一人で食べるのは申し訳ないからとおどおどと小動物を思わせる様な雰囲気で俺にチーズケーキを渡してきたからだ。
委員長は最初俺のことめっちゃ睨んできたけど(でも、イケメン)、那智先輩の優しさに免じて見逃してくれた。うん、天使万歳。
こんなのあのイケメンキラーはしてこなそう。王道展開は美味しいけど、関わりたくはないしー。
は!、イケメンキラーと天使様が会ったらどうなるんだろう……、イケメンキラーの貪欲さが浄化されないかな、いやされて欲しい!!。
「なーち先輩っ」
「…っ」
突然俺が話しかけたから、ビクッと体を飛び上がらせる天使様。そんな姿に鼻血、出してはないけどね。
「一つ質問なんですけど、イケメンキ、じゃなくて、英永和って子に会いましたか?」
お兄様は俺のことビシビシと視線の冷凍ビームを食らわして来るけど、すみません無視無視。俺の学園妄想に影響するんで。
「………だ、れ?」
こてんとフォークを加えながら呟く那智先輩。なんだろう、あざと可愛い。
でも、会ってないらしい。
よかったと思う反面、チッ、まだ美味しい展開は来ないか!っと残念な気持ち。
「知らないならいいんすよー?。多分今に会いそうなんで!(寧ろ会って欲しい)」
そう俺が言うと、納得したのかコクンと一つ頷いて、微笑んできた。
あー、天使様に浄化されたい。
郁said end
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