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八 said
恭先輩と那智先輩が食堂を出て直ぐに面倒くさいグループが食堂に入ってきた。
食堂にはまだ授業中のため俺しかいなく、直ぐにあいつらは俺を見つけた。
「あっ!八だぁぁぁぁ!!」
黒いもじゃもじゃした塊が俺を目掛けて走ってくる、とりあえずウザい。そして、もじゃもじゃの取り巻きにいた面倒くさいグループ……生徒会の副会長、書記、会計が俺を一斉に睨みつけてきた。
睨まれる理由を知りたい。別にもじゃもじゃが俺のとこ来てもウザいだけなんだが。
「八だ!八だ!、なんだ八もお腹すいたのか!、じゃあ俺らと一緒に食べよう!」
「うるさいです、英くん」
「むーー!
永和って呼べって何時も言ってるだろー!」
「はいはい、英くん」
「むきーー!八のばぁぁあか!!」
ウザい。こうも人をイラつかせるとは凄い才能ですよね、要らないですけど。
英永和、突然転校してきた同じ学年で黒髪もじゃもじゃ頭がチャームポイントのイケメンキラー。僅か一週間足らずで生徒会の会長以外を骨抜きにしてきた。まぁ、一週間足らずで全校生徒から嫌われる対象にもなったんですけどね。親衛隊の方々が黙ってないですし。
おかげで俺たちの仕事も増えましたけど。
あと、一応恭先輩たちと同じ学年の為、先輩呼びをしなきゃいけないのですが、敬う気もない相手に先輩呼びするのは勘に触るのでくん付けです。
染み染みと英を観察していたら生徒会の使えない方々が近づいてきた。
「永和は俺たちと遊ぶんだよー!。だから、野良犬は帰れー!」
「蒼の言うとおり!。べっー!」
と、餓鬼くさい挑発をしてくる会計の二色悠、蒼兄弟。一卵性双生児の為どっちがどっちなのかさっぱり分からないですけど、俺にとってはどうでもいい事です。
「悠も蒼も仲良くしなきゃダメなんだぞ!」
「えー、だって野良犬と仲良くする気ないもーん、ね?悠?」
「うん!。例え永和のお願いでもやだなもんはやだもーん」
俺も仲良くしたくないので丁度いいんですけどね。それに野良犬野良犬煩い。恭先輩の犬とは言われてますけど、こいつらに言われるのはむかつく。
そうイライラしてるところにまたしてもイラつかせる奴が話しかけてきた。
「まぁまぁ、二色兄弟落ち着けって。
それより、壬生くん。さっきまでここに白い可愛い子いなかった?、知り合いなら紹介してよ」
パチンと気持ち悪いウィンクをしてきたのは書記の不破咲夜先輩。下半身が万年発情期ウサギ並みの緩さを誇る歩く公害。
「貴方に教える義理はありませんよ?」
「えーそうかなー?。まぁ、いいや。見つけたらマーキング一つはしとかなきゃねー」
「気色悪い。そういうことならその辺のチワワにしといてください。貴方に群がるチワワは多いのですから」
「んー、飽きちゃったんだよね。ほら、俺選ぶタイプじゃん?。まぁ、誰かれ構わずヤろうとする野良犬とは違うわーけ、分かる?」
「俺はそのへんの野良犬とは違って血統書付きの犬なんで。不破先輩こそ、野良犬みたいな煩いチワワがお似合いですよ?」
嫌味ったらしくにっこり笑っておく。不破先輩は少しだけ苦虫を噛んだ顔していた。
もうそろそろ恭先輩たちは応接室についた頃ですかね……。時間稼ぎはしたからもう退散しますか、面倒くさいですし。
「では、俺は貴方たちみたいに暇じゃないので失礼します」
軽く会釈して立ち去ろうとしたら
「八くん」
と、また違う人物に話しかけられた。
面倒くさいので顔だけ相手、副会長の浅倉琉威先輩に向けた。
「響、見たりしたかな?」
響は生徒会長の名前だ。
温和な顔立ちで性格もやはり世話好き型。
確か2人は幼馴染だった気がする。
元々使える人物だったが、今では使い物にならない。
「いえ、見てません。気になるなら自分で見に行かれたらどうです」
「んー、そうしたいのは山々なんだけどね。行きづらいし、永和から離れたくないかな」
「………自分たちのせいで疲れさせてるって分かってる癖にですか?」
俺の一言で生徒会メンバーの表情が固まった。英だけは、なんだよー!と五月蝿く騒いでいる。
「話はそれで以上なら失礼します」
英の五月蝿い声と俺の靴の音が食堂に響いた。あー、癒しが欲しい。
八said end
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