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「チッ、噂をすれば来ちゃったよ」
大きな音の舌打ちをする瀬奈ちゃん。顔が凄く可愛いから色んな意味で迫力があって怖い。
「でもー、サボりってことだよねー?。生徒会の癖に悪いなぁー」
「奏先輩、それは俺たちが言える事じゃないかと」
「細かい事は気にしなーい」
八くんの一言を華麗に放り捨てて、恭ーどうするー?と聞いてる奏くん。
結局誰が近づいてきてるんだろう。奏くんが言うには生徒会の人たちってこと……だよね?。
さっき生徒会長さんと会ったのにまた会うのかな?。それとも違う生徒会の人なのかな。
僕としてはどんな人か気になるから隠れてここに居たいけど、四人は許してくれなさそうだ。
だって、眉間にシワ寄ってるもん。
「……俺と那智は逃げるからお前ら後はよろしく」
そう恭くんは言うと僕に近づいて軽く僕を持ち上げた。何か色々ショックだ。
「恭ちーん、逃げるなんてズルーい!」
「そうだそうだー!俺らも逃げるー!」
と、瀬奈ちゃんと奏くんはそう叫ぶと一目散に生徒会の人たちが来る方向とは逆の出入り口に走って行った。早い……そんなに逃げなきゃいけない人なのかな。
「チッ、雑魚どもめ」
「……きょ、う…くん?」
恭くんの口から変な言葉が出たけど聞かなかったことにしよう。そうだ、僕は疲れてるから空耳かもしれない。
「恭先輩、俺が残ります」
と、八くんが挙手をした。
凄く顔は嫌そうな顔していたけど。
「…………頼んだ、犬」
「わん」
何故か八くんは犬の鳴き声を一つ上げた。それが返事なのかな?、変わってるなぁとか思っていたら恭くんが僕を抱えたまま走り出した。
「あっ!」
「那智先輩、しっー」
心配で咄嗟に八くんに手を伸ばしたら、八くんは自分の口元に人差し指を立ててそう言った。………大丈夫なのかな?。
そして、僕たちが食堂から出たと同時に食堂に新たなお客さんが入ってきた。
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