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一生懸命涙を堪えてたら、タイミング良くチャイムの音が鳴り響いた。そして、こっちに向かってくるドタバタとした足音も。
「やっと来たか」
恭くんは誰が来るのか分かるみたい。
段々と足音と叫び声も聞こえてきた。あ、この声は僕知ってる。
「俺が一番っ!」
「違う!僕が一番になるのー!!」
「俺だって負けませんよ!」
「………あいつらは静かに来れねぇのか」
恭くんのため息と同時に食堂に駆け込んで来たのはやっぱりあの三人だった。
「はぁはぁ、お、俺がっ」
「ち、違う、の!ぼ、僕が!」
「………先輩方体力なさすぎですよ?」
「「後輩の癖に生意気!」」
はぁはぁと息切れをした奏くんと瀬奈ちゃんにしれっとした八くんがいた。
もしかするとここまで走ってきたのかな?。あ、八くんとは今日初めて会ったなぁ。
「てめぇら、うるせぇ」
と、恭くんの一言で三人はこっちを見た。あ、目があった気がする、と思った時に三人はまた走り出した。
「なっちゃーん!!」
「那智たん!恭ちんに何もされてない?!、大丈夫だった!?」
「那智先輩っ」
僕、いつの間にこんなに慕われてたんだろう。堪えてた涙が落ちそうになった時、頭を抱かれて引っ張られた。
「ほらな、あいつら那智のこと大好きなんだよ。だから、明日も明後日もこれから来いよ」
首を横に振る、なんて考えられなかった。
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