泣き虫うさぎ | ナノ
33

「恭……く、ん?」

「なんだ」

名前を呼べば返事してくれたけど、視線は変わらない。眉間の皺も寄るばかりだ………痕残っちゃうよ。

「…………お、な……か」

本当は空いてない。
でも、怒った様な恭くんの顔もやだ。
それに何でかわかんないけど、僕の方を見て欲しかった、誰かの視線とか嫌いなはずなのに。

そう促すとやっと恭くんは僕の方を見てくれて、僕の腕を掴んだ。

「悪い。……腹減ったのか?、なら何か食べれるよな」

恭くんはそう言いながら僕を優しく引っ張って歩かせる。よかった、元の恭くんに戻った。













「で、何食うんだ?」

隣に恭くんが座り、僕の手にはメニュー表がある。なに食べよう………はっきり言ってお腹空いてなかったし。

「……甘いもの好きなんだよな?。
じゃあ、このイチゴパフェでいいだろ」

じっーと、どうしようか悩んでいたが、メニュー選びに悩んでいると勘違いされ恭くんが選んでくれた。あぁ!とか思ったけど、甘いものだからちょっとは食べれるよね、うん。

恭くんは机に備えつけてあったパネルで何かしてる。ん?注文とか……?。
食堂はこの前来たけど、あの時は周りを見る暇なかったから今ちゃんと観察。

びっくりするぐらい広い食堂。しかも二階もあるんだけど……、ということはこの学園の生徒って多いのかな。
どこの机にも注文用?のパネルがついている、うわぁハイテク。

辺りを観察してたら注文が終わったらしく、恭くんが僕の手を掴んだ。

「那智、明日も来るか?」

「……っ」

「お前のことだ、どうせ今日だけとか思ってんだろ?」

正解だった。しかも突然こんな話。何で分かるの?、僕、明日のことなんて話していないのに。
今、僕はどんな表情してる?、ちゃんと隠せてる気がしない。

「瀬奈も奏、八が那智が来なかったら悲しむぞ」

それは何と無く感じた。みんな、僕のこと優しくしてくれた。友達って言ってくれた。でも、

「…………きょ、くんは?」

聞いたのは興味本位。会って一日二日だけど、この人も僕と会わなくなるのが寂しいって感じてくれるかな。

「…………………俺もだ、隣の席がいねぇと困るし、"友達"だしな」

あぁ、にぃ。僕、泣いちゃいそう。





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