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瀬奈ちゃんから待ったが入り、僕は薬を置きに行くのをやめた。あの時は痛いのは可哀想だって思って置きに行こうと思ったけど良く良く考えたら余分なことかもしれない。
突然薬なんか置いてあった困るもんね。
瀬奈ちゃんからの待ったのおかげで考え直すことができた。
「……あり、が……と」
「………へ?何が?」
何か考え込むように腕を組んでた瀬奈ちゃんは僕からのお礼?が聞こえたらしくきょとんとしてる。あ、説明……。
「那智、腹痛ぇから薬一粒くれ」
と、今度は恭くんから待ったが。
右手を僕の方に差し出してそう言ってきた。
恭くんも腹痛?。
顔色、さっきと変わらずよさそうだけど………ご本人が腹痛って言ったなら腹痛だよね?。
僕は箱から薬を一粒出して、早くよくなるといいねって思いながら恭くんの手に乗せた。
「さんきゅ」
ぐしゃぐしゃーと僕の髪を掻き回しお礼を言う恭くん。えへへ、いい事一つできた。
「恭ー、嘘はよくないと思うなー俺ー?」
「何のことだかさっぱりだ」
「那智ちん!僕もお腹凄くすごーーく痛いから薬ちょーだい!」
と、次は瀬奈ちゃんがお腹を痛めたらしい。
見た目も喋り方も元気そのものだけど、もしかすると表情とか態度に出ない人なのかもしれない……。もしそうなら薬をあげるに越したことはない。
僕は瀬奈ちゃんの手に一粒薬を乗せた。今回も早くよくなりますよーにって思いながら。
「…………?」
手を退かそうとしたけど瀬奈ちゃんに捕まえられた。あれ?なんで??。
「………那智ちん、肌すべすべでモチモチだ……!。綺麗」
そしてそんなことを言う。
普通のみんなと同じ手だと思うんだけどな……。
「俺も触りたーい!………本当すべモチー!」
と、瀬奈ちゃんの隣に座る奏くんも僕の手を触り始めた。いや、だから普通の手なのに………。
そんな事を思ってたらほっぺを触られた。
「……!?」
「あ、悪い。でも、那智、綺麗な肌だな」
優しく触ってきたのは恭くん。ついでにイケメンさんの素敵な笑顔付きで。
あ、今僕、絶対顔熱いし真っ赤だ……!。
触り会?は一時間目のチャイムが鳴る迄終わらなかった。
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