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チラリと辺りを見渡すといろんな色の髪色が目についた。赤にピンクは勿論、黄色、オレンジ、緑に青……センスとかは別にして虹色まであった。根元の色が抜けて不味そうなプリンみたいになってる人もいたけど、基本みなさん綺麗に染まっている。染めるの大変そうなのに凄いなぁ。
そんでもって皆さんの視線は僕と恭くんの方に向いている。ぎりって睨まれていて怖すぎる。
「チッ…てめぇら俺を睨むとはいい度胸だな、あ゛ぁ?」
と、鶴の一声……じゃなくて恭くんの一言で僕たちを睨んでいた(主に僕)人達は一斉に前にいる新先生の方に向き直した。
ほへー、恭くん凄い。もしかしてこのクラスを纏める人なのかな?。
顔を上げて恭くんを見つめていたら、
「……見え…な、い」
「見過ぎだ、那智」
恭くんに頭を抑えつけられて再び恭くんの肩に顔をうずめることになった。恭くんの匂いは好きだけど、もうちょっと顔を見ていたかったなぁ、残念すぎる。
「あ、そうそう」
と、前の方から新先生の声が聞こえた。続いて瀬奈ちゃんと奏くんが何か言ってるけど、ドカッと鈍い音が聞こえたと思ったら静かになった。なんだったんだろ?。
「………本当暴力教師」
「うるせぇよ。つか冷泉の部下だろ、ちゃんと躾とけ」
「三歩歩いたら忘れる様な奴らを躾ける気なんて起きねぇよ。それに俺の犬は一人だけだからな」
「恭ちーん、奏ちんは兎も角僕はそこまでおバカさんじゃないんだけどー」
「異議ありー、瀬奈ちゃんには勝てる自信あるよ、俺」
「うるせぇ、バカ犬。で、話続けろよ暴力教師」
そう恭くんが言うと歩き出した。……話はよくわかんなかったけど。席に着くのかな……あれ?僕の席ってどこなんだろ。
「お前な……はぁ、まぁいい。
よーく聞けお前ら。今冷泉が抱っこしている奴は今までと空席だった奴、香水那智だ。ちょーと人見知りだが………あ、後こいつの兄はあの風紀委員長様だかは呉々も問題起こすなよ、以上だ」
音だけで判断すると、新先生はそれだけ言うと歩き出して扉を開けて行った。多分帰ったんだよね。
僕の自己紹介までしてくれて本当ありがたい。多分自己紹介なんて僕には出来やしないし。…………あ、僕の席は??。
「おい、そこの二人どけ」
と、歩いていた恭くんの足が止まった。どけ?、どういうことだろう??。
「………お前は俺の席、でお前はあそこの空席に行け。早くしろ」
「は、はいっ!!」
「おっす!?」
と、知らない声が聞こえたと思ったらガタガタと音がした。全く現状が把握できてないな、僕。ちょっとショック。
そんな気持ちでいると恭くんが僕を離し、席に座らせてた。え?。
「日差し強かったら言え」
それだけ言うと恭くんは僕の左隣に座った。一番後ろの窓から二番目の席。
ここが僕の席なのかな……そうだよね?。そう思うと自然と口元が緩んだ。学校で一つ新しい僕の居場所ができたんだって。
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