16
*
「……ん……んー?」
目を開けたら広がるのは僕の部屋だった。あれ?恭くんたちと裏生徒会室にいたはずなのにいつの間に帰ってきたんだろ?。
ぽっーと考えてたら、部屋の扉が開いた。入ってきたのはにぃだ。
「あ、那智起きたのかい?。頭痛くない?」
確かに頭が鈍く痛い。頭とかぶつけた記憶ないんだけどな、なんでだろう。
こくんと頷いてずっと気になってることを質問した。
「ぼ、く……いつ、帰って……きた、の?」
そう質問したら一瞬にぃの顔が歪んだ。何で?何かしちゃったの?って聞こうとする前ににぃが口を開いた。
「あー…俺が迎えに行った時、疲れて寝ちゃってたみたいだったから、冷泉たちに礼を言っておんぶして帰って来たんだよ」
「…ほ、ん……と?」
「うん、俺が那智に嘘ついたことがあったか?」
ふるふると首を振る。
ずっと一緒だったからわかる。にぃは僕に嘘ついたことはない。じゃあ、本当なのかな……。
そう思った時
「っ!」
鈍い痛みが一瞬鋭い痛みに変わった。
そして誰かに僕の姿を見られた記憶が浮かんだ。
「那智?……どうした、痛むのか?」
ふるふると首を横に振った。一瞬痛かっただけ。もう大丈夫だもん。にぃに心配かけたくない。
それに僕はそれどころじゃない。
「にぃ……す、がた……見られ、たの?」
「え?」
「僕……だ、れかに……見られ、たの?」
「そんな訳ないだろ?。フードちゃんと被ってたんだろ?」
と、にぃは僕の肩を優しく掴む。
確証なんてない。いつか見た夢を思い出しただけかもしれない。
でも、"誰かに見られた"って警鐘は鳴り止まない。それに多分"誰か"はきっと
「きょ……うく、んたち」
そう呟いたとき肩を掴む手が少しだけ力が入った。
あぁ、正解なんだって気づいた。
「き、ら……われた?」
にぃは肩から手を離し僕を抱きしめてきた。あったかくて優しい匂い。
「そんなことないよ。冷泉たち、謝ってたよ。ごめんって、また会いたいって」
「ほ、ん……と?」
「うん。さっきは嘘ついてごめん。これは本当。那智、怖がらなくていいんだよ」
にぃは僕を少しだけ離し、おでことおでこをくっつける。にぃの顔が近い、恥ずかしいけど少し嬉しい気がする。
恭くんたちとまた会ってもいいのかな。
僕と会ってくれるかな、またお話しても大丈夫かな。
そんなこと考えてたら、にぃがまた話し始めた。僕の生活を180度変える言葉を。
「那智、明日から学校行こっか」
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