泣き虫うさぎ | ナノ
13

「そー言えばー、なっちゃん。どーしてフード脱がないのー?」

と、目の前にいた八くんを押しのけて奏さんが現れた。この人はこの三人の中で一番苦手かもしれない。"信用する"って言ってたけど、視線は今だに僕を敵視してるもん。仕方ないことだよね、って思ってるけど、こういう視線が一番怖い。

「紫外線対策なんだとよ」

と、考えながらも奏さんの質問を答えようとしたら今まで黙っていた恭くんが喋った。
そう言えば恭くんからも質問されて、そう答えたんだったっけ。

「えー、でもここ室内だよー?」

僕からじゃ、奏さんの口元しか見えないけど不気味にニヤリと笑った。恭くんもニヤリって笑うけど何かが違うって僕の中で警鐘が鳴り出した。

「室内だろうが関係ねぇくらい肌が弱いんじゃねぇか。それに俺たちが深入りする所じゃない」

「んーそうだけどー。瀬奈ちゃんとはっちーは何と無くだけど信用してるみたいだけどー、俺は素顔を見せてくれない人を100パーセント信用する気はないんだよねー」

「………そうか」

と、恭くんはそれだけ言うと目を閉じた。
なんだろう……後は自分でやれって感じかな。
………なら、怖いけど言うしかないと思う。

「………し、ん…用………いい、で、す」

そう僕が言うと奏さんの後ろにいる瀬奈ちゃんや八くんが息を飲んだ音が聞こえた。折角できた友達だけど、素顔を見せて嫌われるくらいなら、今ここで嫌われた方が何倍、何百倍もマシだ。

「ふーん、なっちゃんはーそれでいいんだねー?。他の三人は知らないけどー、俺は信用しないよ」

ふわっとした声から一変、鋭く尖る様な声に変わった。別に大丈夫、これは慣れてる。

「……い、い。……か、えりま…す」

ここにいたら僕のせいで、この仲がいいだろう組織の雰囲気が壊されちゃう。だから、僕はもう帰ろう。にぃは待っててって約束したけど、ごめんね、約束破るね。

ゆっくり立ち上がり奏さんの隣を抜けようとした時に

「そんなに嫌なわけ?素顔見せんの」

嫌に決まってる。
僕の素顔は人を離れさせるものだ。別離されるものだ。そんなもの見せれるわけない。

「だんまりってことはー、正解ってことかなーなっちゃん?」

そして何故かこのタイミングで奏さんの口調が元に戻った。なんでだろう……そう気が緩んだその時

『バサッ』

そんな音が僕の頭上で響き、視界が広がった。光の量も変わり片目に掛かる刺激が多すぎる。ある程度光に慣れた時気づいた。

いつもあるものがなくて

いつも見えないものが見えて

そして、四人とも僕を驚愕した顔で
見ている姿に

「あ、ああ、あぁぁぁあぁあぁ!!!
見るなぁぁぁぁあ!!」

近くにいた奏さんを突き飛ばした。

見られた。
僕がみんなと違うところを。
化け物みたいに真っ白で
片目がないその姿を。




僕の中で何かが切れた_________。







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