07
俐人 said
『いい?冷泉とかにイジメられたり怖い思いしたら逃げるんだよ?。そして、俺に電話すること。直ぐに駆けつけるからあんまり泣かない様にね?、俺が到着したら存分に泣いていいからね?……那智、ちゃんと聞いてる?』
と、きつくきつーく那智に言い聞かせて冷泉に那智を任せて俺は学園を出た。その時、冷泉が何か言いたそうに睨んでいたが無視だ。
何故こんなタイミングで来週に行う交流会で行く場所を視察に行かなきゃいけないんだ。俺以外にも風紀委員のメンバーと一緒に行くが、俺としてはこんな視察行かないで、那智とケーキを買って寮に戻ってイチャイチャしたい。
でも、それが出来ないのは理事長命令だからだ。理事長は俺の父さんでもある。
「那智………大丈夫かな…泣いてないかな」
おかげで頭を埋めるのはそればかりだ。
でも、那智が冷泉と一緒にいる方を選ぶとは考えていなかった。一人が嫌いだけど人嫌いな那智。怖がらない相手なんて俺と父さんだけだった。
なのに、高々案内だけであそこまで気を許すとは………。きっと何かあったと思うけど、那智にとってはいい傾向かもしれない。
狭い世界から広い世界に目を向けれるかもしれない。俺だって見せてやりたいけど、一人で出来る事は限られてる。
那智のためなら………、と思ってもあの子を傷つけたら元もこうもない。
今までの経験で学んだことだ。
冷泉は、小さな体にのし掛かる重たい荷物を少しでも軽減させてくれるだろうか。
それに、今回のことで学園自体に恐怖心が少しでも無くなれば、もしかすると一緒に登校できる様になるかもしれない。
「……いや、望みすぎか。
那智のペースで進まなきゃいけない」
一つ息を吐いて頭を振る。
焦っちゃいけない。でも、お弁当を届けるなんて那智にしたら大成長だ。それでも
「……寂しいなんて言ったらダメ…だよな」
広い世界を見て欲しい。
だけど、俺の……兄さんの手を離さないでいてくれるだろうか。
俐人said end
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