ありがとう。さよなら
!ちょっとだけ未来の話
!狂気的な葉山の独白
!死ネタ
「ここならきっと見えるよね?宮地サンの大好きなバスケットコートが。」
正式な試合じゃなくてストバスだけど。
「でも、さすがに体育館内にまで連れていけないから我慢してね。」
ごめんね?
本当は館内に行けたらいいんだけど、そしたら俺が自由に行き来できなくなっちゃうからさ。
そしたら宮地サン、寂しくなっちゃうでしょ?
知ってるんだよ、俺。
宮地サン、俺に物騒なこと言う時は大体照れてる時や寂しかった時だってこと。
ほんと、とんだツンドラだよね。
でも、そんな素直になれない宮地サンが俺は大好きなんだよ。
「ありがとう。俺と出会ってくれて。
宮地サンに初めて会ったウインターカップの準決勝。
俺ね、ほんっっとに久々にスゲーヤツに会ったって思ったんだ。
たぶん、今まで試合したヤツらの中で一番スゲーと思って、一番楽しいって思った。
宮地サンと試合できてほんとに良かったよ。
アドレスを訊きにに行った時だって、すげー怒ってたけど、でも最後には教えてくれたよね?
なんだかんだ言いながら、面倒見のいい宮地サン。マジで尊敬する。俺にはぜってーできないもん。」
今でも思い出せる。
あの試合の時、俺のドライブを見て、抜かれた時にした絶望した表情。
何度も何度も抜かれてした悔しそうな表情。
そんで試合が終わった時の涙。
全部全部キレイ、って思ったんだ。
敵だったし、何より初対面の男だったのに。
あんな気持ち初めてで。これが初恋なんだ、ってほんと何となくだけど。本能的にってやつ?でわかっちゃった。
しかもその後、赤司の静止を押し切って秀徳の控え室に押し入ってムリヤリアドレスを聞き出した、その時。
他校生にも関わらず、何も言わずとりあえず一発本気で殴ってくれた宮地サン。
あれ、めちゃくちゃ痛かったんだよ?
でも、どこまでもバカで自己中な俺にはあれくらいじゃないと…嫌。もしかしたらあれでも足りなかったかもしれないけど…足りないってわかってたんだね。
それに気づいてやっぱり宮地サンはスゲーって思うと同時に、この人とずっと一緒にいたいって思った。
「一緒にいたいって思い始めてからもう3年。
長かったね、宮地サン。
でも、これでやっと一緒にいられるね。
ケンかも沢山しちゃったけど……でも、もう大丈夫!
だって、宮地サンは一生俺の中で生きていくんだもん。
俺が生きてる限りずっとずっとずっとずっとずっとずっトずっトずっとずットズットズットズットズットズットズーーーーーーーット一緒だよ。
肉体があるかどうかなんてどうでもいいんだ。
心が繋がっていれば問題なんかないもん。
だから、少しだけここで眠ってて。
俺の肉体が朽ち果てて宮地サンのとこに戻ってくる日まで………ね?」
目の前にある赤く冷たい唇に********る。
長く、永く。
永遠にも感ぜられるほど長く。
まるでそう。
宮地さんの血肉や目に見えない魂とかそういったものまで吸い付くように。
ふと気付くと、宮地サンの髪がキラキラと輝き始めた。
はちみつみたいにキレイで。でも、はちみつなんかより全然キレイな色。
まるで宝物みたいなキラキラ。
「朝になっちゃったね…。
じゃあ、さよなら。……………宮地サンの“カラダ”。
今度会うときは、照れずに俺に“スキ”って言ってくれないと、俺、拗ねちゃうよ?」
苦労して手に入れた木製の棺の蓋を静かに閉めた。
深い深い穴から這い出して、上に土を丁寧に丁寧に被せていく。
誰にも見られたくない宝物を隠すように丁寧に。ゆっくりと。
それらが終わる頃には太陽は登りきっていた。
見える?宮地サン。
キレイだね、朝日。
…けど、宮地サンの方が何倍も、何十倍も、何百倍も、何千倍も、何万倍も、何億倍もキレイだ。」
最後に、土の上にひまわりを8本植えた。
しばらくここに来ることはないだろう。
「ひまわりの花ことばはね、3つあるんだよ。
一つ目は、『あなただけを見つめます。』…これは、俺から宮地サンへ。
二つ目は、『光輝』…これは、俺から見た宮地サン。
三つ目は、『熱愛』…これは、ほんとはこんなんじゃ足りないけど…俺が、宮地サンをこれだけ愛してるって言葉。
宮地サン、誕生日教えてくれなかったからさ。
宮地サンの誕生花わからなかったんだよ。
だから、背番号が8番だったでしょ?ってことで8月で調べたんだけど…。
まさか、ここまで俺たちにピッタリの花ことばだと思ってなかったからビックリしちゃった。
やっぱり、俺たちが恋に落ちたのって運命なのかな?って思ったんだよ。
宮地サンもきっとそう思ってくれてるよね?」
ふと、蘇る宮地サンの肉体がまだ息していた頃に見せた最後の表情。
顔を真っ青にして、怯えて、泣き叫ぶ、あの余裕のない表情。
そんな表情を知っているのは俺だけ。
「だって、宮地サン、コロサレタノオレガハジメテダモンネ?
とってもとってもキレイダッタヨ、ミヤジサン。」
END
文字数の2000文字、ギリギリ超えました…。
葉宮の狂愛は基本、葉山が狂います。
葉山の行き過ぎた愛情が故にそうなっちゃいます。
さて、ちょっとした解説を。
お気付き頂けたら幸いですが、実は葉宮と見せかけての葉→→→→宮です。
付き合ってもないし、そもそも両想いでもありません。
ところどころにそう見える様に要素を詰め込んだつもりでしたが…何分、技量が足りず。
相変わらずの不完全燃焼です。
何にせよ久々の葉宮、書いてて楽しかったです。
しばらくは企画サイト様に提出用の文章を書いていきます。
葉宮もいくつか書く予定ですので、次は幸せなのを書きたいと思います(笑)2013/06/03.
裸足様提出。
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