eyes
負けた。
それはそれは完膚なきまでに。
赤司征十郎。
前半は大したことない、とか思ってたけど。
やっぱりキセキの世代の主将だった。
俺なんかじゃ全然敵わなくて。
もし俺がもっとアイツに食いつけていけてたら、なんて考えてしまう。
俺にもっと力があったら、
先輩たちを、真ちゃんを泣かせなくて済んだのかもしれない。
宮地サンが、大坪サンが、木村サンが引退しなくて済んだのかもしれない。
もっと今のメンバーでバスケができてたのかもしれない。
そんなこと、今更考えたって仕方ないのに。
でも、どうしても考えてしまう。
俺は無力だった。
「くっそ…くっそ……
くっそおぉぉぉおおぉぉおおぉ!」誰もいない選手用通行口、
俺の声と床を殴る音が響いた。
どんなに悔やんだって、刻は戻らないのに。
「高尾和成。」
「…お前、赤司…!」
いつの間に。
そう思うも、コイツならあんまり驚かない。
むしろ驚いたのは俺に声をかけてきたこと、だ。
しかも、周りに他の洛山メンバーはいない。
「…何の用だよ。」
座ってる俺は、必然的に目の前に立つ赤司を見上げることになる。
「僕は君が気に入った。」
「……は?」
わけがわかんねぇー。
気に入った、だ?
「その僕を見る瞳。
それは、今まで戦ってきたPGの誰も見せなかった瞳だ。」
ほんとにわからない。
あれか?
キセキの世代ってのは、どいつもこいつも変人なのか?
「屈服させたくなる。
その強気の瞳は特にそそられる。」
「…お前、そっちの趣味の人?」
うわー恐ぇーわ。
俺、喰われちゃう感じ?
「そうだな…。」
え、何?
マジなの?
思わずオッドアイのヤツの瞳をまじまじと見てしまう。
「高尾。」
ただ、そう発せられただけなのに。
身体が動かなくなった。
「っ……何、だよ…。」
「いずれお前は僕のものになる。断言しよう。
そのときまでせいぜい足掻くといい。」
俺の耳元で、そうささやくとあっさりと身を翻した。
「一体何だったんだよ…。」
赤司の姿が見えなくなってもなお、身体は麻痺したかのように動かなかった。
end
初赤高でした!
世間では赤緑かもしれませんが、自分はどっちでもいけます!
赤司は手に入れる、と思ったらどんな手段を使ってでも手に入れますよね。
それと、秀徳負け設定だったので後悔シーンを入れさせてもらいました。
たった5人のスタメンで1年レギュラーなんだから
プレッシャーも相当なものだと思うんですよね。
負けたら、高尾と緑間は誰よりも自分を責めちゃうと思います。
自分も中学最後の吹奏楽コンクールで
もっとソロがうまく吹けてたら…とか今でも考えちゃうので。
その気持ちに似てるのかな…って勝手な想像でした。2012/08/25.
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