「ミリア、明日は買い物に行きましょうか」
ママのにやついた笑顔に私は思わず疑問の表情を浮かべてしまった。
手紙が私の元に届いて早二日がたった今日。手紙が届いたあの後私を含めた家族のテンションは今思い出すと尋常じゃなかった。ママは晩御飯を豪華に用意し、帰宅したパパはケーキを抱えていて。そんな中私もちゃっかりそれにあやかってしっかりそれらをお腹に収めたのだけど。
「ダイアゴン横丁に行くのよ」
「ダイアゴン横丁?ってことは…」
「そう!!入学の案内がきたんだからさっそく準備をしなくちゃね!買わなきゃいけないものがたくさんあるわ」
そういうとママはご機嫌な様子で席に座ってクッキーをつまんだ。
ママがこんなにご機嫌になるホグワーツ入学。ホグワーツってばそんなにいいところなんだろうか?
「ねぇ、ママ」
「なに?」
「ホグワーツってさ、どんなところなの?」
ママは一瞬きょとんとしてから、悩んだように手を組んで考え込んだ。
「勿論一言ではいえないけどね、とても魅力的な場所だと思うわよ」
「なんで?」
「ホグワーツにはグリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンの4つの寮があってね。入学するとこれに配属されてこのグループで学生生活を過ごすことになるの。クディッチや優秀賞をもらうために競い合ったり、時には交流しながら生活していく。たくさん自分を養えるチャンスが色々な形であるってことなのよ」
「へー…」
「先生方も特徴だらけの人達だし、ホグワーツでの学生生活、ママはとても楽しかったわ」
そう優しくいいながら近くの棚を開けて一枚の写真立てをママはもってきた。ひょいとおかれたそれを除くと数十人の学生達の集合写真が写っていた。
「もしかして…この赤いネクタイの人ママ?」
「正解よ!ママはグリフィンドール生だったから赤いネクタイなの。ほら、探してご覧なさい。パパもいるわよ?」
フフン、とご機嫌そうに笑えばママはもう一枚クッキーをつまむ。
「あ、あった!この黄色のネクタイの人!!…パパ!?髪型が今と全然違う!!」
ママの斜め後ろには今よりも髪が長い別人のようなパパが写っていた。
四色をそれぞれ身にまとった生徒がこっちをみて微笑んでいる。
「正解!この頃のパパは髪伸ばしててねー、後ろでくくっていたわね。懐かしい」
「他にも私がわかりそうな人いる?」
「いるわよ。これはね、あるときの監督生の集まりの写真なのよ。ほら、ここ。わかるかしら?この緑の長髪の、」
「あ、ルシウスおじ様!」
「ふふ、それにここ。赤いネクタイで後ろにいる、」
「アーサーおじ様!み、みんな若い…」
ママが指さした先には何度も顔を合わせている幼なじみ…と呼ぶのだろうか…?な、友人のお父上達ものっていた。あまりきにしていなかったけど、みんな違う寮だったんだ。
「私は何処の寮になるかな?友達できるかな?」
思わず写真をみながら呟いてしまった。やっぱり私といえど不安なところは学校の生活に馴染めるかどうか。そうするとママはぽんぽんと頭を軽く叩いて口を開いた。
「あなたが何処の寮になるかはわからないけど、ミリアなら大丈夫!問題なしね、だってパパとママの子だもの。」
嬉しい言葉に口がゆるんでいく。私は軽くうん。と返事をし、伸びをしながら口を開いた。
「ふー!!明日の買い物たのしみっ!!」
「ちゃんと準備しときなさいねっ、」
「りょーかい!」
明日は長い一日になりそうだ。