森の中を歩く、一つの影があった。
それは、少女を背負った黒い長髪の青年
───名を、神田ユウ



「俺はよっぽど神とやらに嫌われてるらしいな…」



彼は、否、彼らはとある街から教団本部へ帰還する道中だった。というものの、任務完遂、エクソシスト負傷とのしらせをきいて、一目散に彼の療養中の街まで飛んでいってしまった彼女───ミリアクラシアスをそこへ送り届けるという理由があり、現在入っている任務には他のエクソシストがあたっていると偶然に偶然が重なった結果、ちょっとしたラブラブ二人旅になっていた。


ミリアの希望で降りた駅のある街は、少々田舎の街だが自然が美しかった。せっかくだから、と森林浴(つまり散歩)を楽しんでいたのだ。が。
その森の中でAKUMAに襲われたのだ。幸いにも倒すことはでき、大きな怪我は免れたのだが、逃げた時にミリアは足をくじいて歩けなくなってしまった。




(「AKUMAの気配にもう少し早く気づいていれば、こいつは怪我をしなくてすんだ。俺の気が緩んでいたんだ、情けない。」)




彼は彼女に背を向けてかがみ、一言。

「乗れ。」




そこから、会話はない。
最初こそ赤面していたミリアはいつしか愛する人の温もりを感じながら眠ってしまっていた。
顔の横に愛しい人の寝息を感じながら、彼は命に代えても彼女を守り抜いてみせると誓ったのだった。







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亜桜 麻槻様より







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テーマ「人外ファンタジー」
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