for魅空様


「ペタ、お母さんって呼んでも良いですか」
「…すまんな。よく聞こえなかった。スイクルデスの餌食になりたいのならもう一度言うが良い」


いや、しっかり聞いてるじゃん!とかいうツッコミは出来ようはずもない。そして何故私がこんなお茶目な冗談を宣ってるかというと、だ


『司令塔命令』


つまりファントムの気まぐれによりこんな命懸けの冗談を言うはめになったのだ。ごめんね、ペタ!文句はあんたの上司に言って!


「…お母さん、か。貴様には私がそう見えるのか」
「え…いや、見えるというか、見えないというか…」


見えるって言ったら参謀に血祭りにあげられる。でも見えないって言ったら司令塔にお仕置きという名の私刑を受ける。なにこの板挟み!どうせ板に挟まるならもっと甘い展開が良かった!


「はっきりしろ!」
「み、み、見えます!」


嗚呼血祭り!


「そうか」


かと思いきや、彼は妙に寂しそうな顔をして私の頭を撫でた


「え…なにを」
「子供扱いだ」
「何それ。お母さんって言った仕返し?」
「否、事実、貴様はガキだろ」
「なんだって!?こんな大人の女を捕まえて!」
「はっ」


鼻で笑いやがった!


「一度、"大人の女"を辞書でひいてこい」
「っ!ばーかばーか!ペタの馬鹿!お母さん!もう知らない!」


未だ頭に乗せられていたペタの手を振り払い、逃げ出した


「だからガキだと言うのだ。愚か者め」








「はは、それで捨て台詞を残して逃げてきたのかい?馬鹿だねぇ」
「うう…元はと言えばファントムが悪いんじゃない!」
「人のせいにしないでくれよ。僕としてはきっかけを作ってやろうって仏心だったんだけどなあ」
「お母さんなんて言ったら怒るに決まってるじゃない!ガキ扱いされるし…最悪」
「君はどうしてガキ扱いされるのが嫌なんだ?」
「それは、…好きな人から子供扱いされるなんて嫌じゃない。一人の女として、見てほしいのに」
「ペタも同じように思っている、とは思わないのかい。僕は君に気付いてほしかったんだけどね」
「!…もう、期待させるようなこと言わないでよね」


"いいからもう一度会って話をしてごらん"なんてファントムに部屋を追い出され、またペタの部屋に戻ってきた。しかし入るに入れず、扉の外で逡巡していた


「部屋の前でうろうろされると迷惑だ。用があるならさっさと入れ」
「ご、ごめん」


気配に敏感な彼にはすぐにばれてしまった。控えめに中に入ると鋭い視線が容赦なく降り注ぐ


「それで、"お母さん"な私に何の用だ」
「粘着質」
「だまれ、ガキ。私も暇ではない。用がないなら、」
「ガキじゃないもん!」
「ふん。辞書で"大人の女"を調べてきたか」
「私はガキでも、大人の女でもない。私は私!それで、ペタも"お母さん"なんかじゃなくて、私にとっては…」
「…なんだ」
「ペタは、ペタで。だから、その」
「"自分とは何か"などという哲学論に耳を傾けるつもりはない。簡潔に言え。お前にとって、私はなんだ」
「一人の…お、男の人、で…」


それを言ってしまうのはなんだかとても恥ずかしくて。けれどペタは顔色一つ変えない。ずるい


「だから、ペタも、訂正して。私はガキじゃないよ」
「…まあ良いだろう。訂正してやる。私にとってお前は…ただ一人惚れた女だ」



驚くほど世界は都合よく出来ている


(え、え、え)
(それなのに、お前は私を"お母さん"と言ったな。…酷い女だとは思わぬか)
(て、て、訂正します!)
(ふん…。それで良い)



2011.07.26 サリ
(久しぶりですね。参謀=お母さんネタは)
(以前に比べるとあんまりお母さんに見えなくなってきたのは、ファントムが手のかからない人になってきたからでしょうか)
(ベッタベタに優しい参謀も好きですが、やっぱり冷たいことたくさん言われると惚れ直します^^)
(ドMなサリが参謀に惹かれてしまうのって、どうしようもないことですね←)
(リクエスト、ありがとうございました!)



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サリ様より。

毎回素敵な夢ありがたいですうう!
五周年おめでとうございます本当に!!






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