「(この匂いは…)」


袖で口と鼻を覆う。仮眠を取ろうと戻った自室ではミリアが一人で酒盛りをしていた。何故私の部屋でする。鼻につくアルコールの匂いに耐え切れず窓を開ければ、寒い〜とミリアは擦り寄ってきた


「ねえ、ペタも一緒に飲も?」
「断る。飲みたいならば自室で一人で飲むが良い」
「冷た〜い。私はだぁいすきなペタの帰りをずーっと待ってたのに」


なら何故酒を飲む必要がある。しかし今のミリアにそんなことを問うてもまともな答えなど帰ってくるはずもないので、口にはしなかった


「離れろ。私はもう寝る」


ミリアの腕から逃れベッドに腰掛けるとそれを追って彼女も隣に陣取った


「ええ〜せっかく待ってたんだから、もっとお話しようよ」


腕に縋って見上げる熱を孕んだ瞳に、不覚にもどきりとしてしまう


「ねえ、ペタ〜。まだ寝ないで」
「…お前は酔いすぎだ。水でも飲んで酔いを醒ませ。そして寝ろ」


常備していた水をグラスに注いで渡すがミリアは受け取らなかった


「やぁだー。水なんていらないもん」


それより、とまた彼女は絡み付いてくる。密着する体は酷く熱かった。酒のせいだろうか、赤くなった頬をすり寄せて"ペタが良い"なんて言うものだからこちらまで熱くなってしまう


「おい、いい加減に…!」
「じゃあペタがお水飲ませて?」


どうせ、出来ないんでしょ?と言いたげに不敵に笑う。それにカチンときて水を口に含んで口移しで飲ませてやった。我ながら単純なことをしたものだ。ミリアに乗せられたようで、むかつきが収まらない


「これで満足か」
「…満足じゃない、って言ったらもっとイイことしてくれるの?」


いつになく挑戦的な瞳はひどく扇情的だった。固いと自負している理性の壁に皹が入る音がした。が、崩れ堕ちることだけはなんとか防いだ


「残念だが、酔いどれに手を出す趣味はない。抱いてほしいなら素面のときに素直にそう言うがいい」
「じゃあ」


袖を引かれて振り返る。交わった視線に、酩酊の色はなかった


「じゃあ今までのは演技でほんとは酔ってないって言ったらどうする?」


頬が赤かったのは酒のせいではなかったことに気付くと、脆くも理性の壁は完全に崩壊してしまった


「もちろん、答えはイエスだ」


作戦勝ちの24時
(瞬間、愛欲に濡れた唇が三日月形に歪んだ)


2011.04.09 サリ
(お待たせいたしましたー。頂いたリクエストにちゃんとお応えできているか心配でなりません…。が、この美味しすぎるシチュ、書いててとても楽しかったです。イエスはあの有名なイエスノー枕的な意味でのイエスです^^ちなみにサリはオールウェイズイエスですよ!←魅空様、76000hitありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。※魅空様以外のお持ち帰りはご遠慮ねがいます)






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マジ素敵すぎて鼻血たれるかと思った…サリさん本当にありがとうございますううああ幸せ!!







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