「へー……ここが今回の集合場所──並盛ヒルズ」



全十階建てのショッピングモール、並盛ヒルズ。休校日なのを良いことに何故かリボーンに呼び出されたボンゴレファミリー(予定)。偶然(という名の必然)でモールの前でウロウロしていた獄寺と合流したミリアはビルを見上げた。遠くからはよくわからなかったが、この微妙に田舎な並盛には珍しい高層ビル。純粋な並盛住民の少女はビルを見上げて唖然と呟いた。



「たかーい……」

「当たり前だろ、ビルなんだから」



呆れたような獄寺の言葉にむっとしながら、ミリアは彼の手を引っ張り中へと急ぐ。集合時間まで後十分。開店直後のショッピングモールは人が少なく、歩いているだけで見る予定もないのに店員が「いらっしゃいませー」と声をかけてくる。それに居心地の悪さをおぼえながら二人は奥へと向かう。



「屋上で待ち合わせだっけ?」

「おう。…あそこにエレベーターがあるな、」
「あ、直行できるんだ、というわけでレッツゴー♪」

「あ、おい、引っ張んな!」



つかまれたままの手をひっぱられ、そのままエレベーターに運行される獄寺。慌ててついて行く。……というより、慌てすぎた。勢いがつきすぎた。そして誰もいないエレベーターでボタンを押そうと振り返るミリアのタイミングも悪すぎた。



「隼……っ」

「……………っ」



反射的に支えようと伸ばされた手。閉まっていく扉。入りざまに少女の押したボタンが光る。おちる沈黙。目を見開いた二人はしばらくそのまま固まり。

───ガタン、

エレベーターの上昇音に我に返った少年と少女はまたもや慌てて離れる。
少し、急いで離れすぎた。


ガンッ



「あだっ!?」

「は、隼人、大丈夫!?」



屋上まで開かない金属製の扉と獄寺の頭が激突した。鈍い音に、ミリアは大慌てで頭をさする少年の方へ手を伸ばした。……やっぱり非常にタイミング悪く。

────チーン。



「「え」」

「うわぁーっ!?」
「お、チャオっす獄寺、ミリア」



とあるエレベーターの前で飛び出してきた二人の学年につぶされた不運な少年がいたとか。……いなかったとか。




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砕夜 密様より



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