first impression



初めて見たとき、ナルシストなやつだと思った。

今まで試合に出たのは少しだけ。
それなのに他のメンバーに指示しまくってって・・・
頭は切れるんだろうとは思ったけど、それだけじゃねえのか?
自分は試合に出ないで力を温存させて、何様のつもりだよ!?

正直、好きになれなかった。

しかもそんなやつに日向とのケンカを止められて・・・
余計に腹が立った。

でも・・・
実際は違ったんだ。

あいつは準決勝、フルタイムで戦ってた。
しかもあいつのプレイは、目を見張るくらい凄かった。
翼や岬もうまいと思ったが、あいつみたいなやつを本当の天才って言うんだろうな。
なんで今まであいつは試合に出なかったんだ?
試合に出てれば、もっと楽に勝ててたのに・・・

そう思ってたけど、後半戦になってその理由がわかった。

あいつの持っているハンデ。
それは、誰よりも重い、「心臓病」というものだった。

始めは南葛を応援してたけど、あの姿を見てたら・・・
三杉を応援したくなった。

自分の限界を超えてまで、翼と戦りたい。

その思いがこっちまで伝わってきて・・・。

勝たせてやりたい。
ガンバレ三杉!!

気がついたら、途中からずっと三杉を応援していた。

***

初めて見た時は、日向と似たケンカっ早い人物だと思った。

南葛、明和がここまで勝ち残っているのは、最初から予想できた。
正直、最後の1チームには興味がなかった。
僕は、翼君と試合をして、勝って、優勝できればいいと思ってたから。
チームワークが売り?
ただの仲良しチームなだけじゃないか。
よくあることだ。

ずっと、そう思ってた。
準決勝を見るまでは。

準決勝の明和対ふらの。
その中でチームメイトを引っ張っていたのは、あの食堂で日向とケンカを始めようとしていた、松山だった。

彼のプレイは、非常に安定している。
その上、良く周りも見ていて、うまく試合をコントロールしている。
そんな松山を本当に信頼しているからこそ、ふらののチームプレイは活きている、そう感じた。

そして、わざと反則を取りにいったあのプレイ。
自分の体が傷つくのも苦とも思わないで、全力でチームの勝利のためにプレイしている。
そんな必死な姿が、目に焼きついて離れなかった。

無我夢中で、ボールを追いかけて。
全力で走って。
ただひたすら、勝利だけを見据えていた、あの目。

すごいと思った。

僕も、あんな風に全力でプレイしてみたい。

本当に心の底から、そう、思ったんだ。

***

決勝戦。
南葛対明和。
その試合に観客は釘付けだった。
どちらも優勝がかかっている一番勝負。
そこから生まれるスーパープレイに、一瞬でも目を離せなかった。

気がついたら時間が過ぎ、ハーフタイムに入った。

「「・・・あ」」

そこで、初めて松山と三杉は、お互いが隣で観戦していたことに気がついた。

「・・・やあ」
「・・・よう」

初めて直接話す二人。
やはり、どこかお互いに緊張しあっていた。

「・・・あの、さ」

ぽつりと、先に言葉を零したのは三杉。

「・・・惜しかったね、準決勝。」
「・・・ああ。」

そういって松山は空を見上げた。

「まさかあそこで、あんなにうまいキーパーに変わるとは思わなかったなー!!・・・あれが入ってれば、俺たちが勝ったのに。」
「本当に、ナイスプレイだったよ。あの反則と見せかけてたのも」
「・・・あれ、わざとだって気がついたのか?」
「ああ」

三杉はおかしそうに笑った。
そんな三杉を、松山は見る。

「普通、やらないよ。あんな荒業。」
「まーな。でも、勝ちたかったんだよなー。」

松山も釣られて笑う。
そして、ふと、笑うことを止めて三杉をじっとみた。
三杉もそれに気がつき、笑うことをやめる。

「・・・なに?」
「いや・・・お前、大丈夫なのかよ?」

昨日・・・と松山が言いかけると、ああ・・・と言って三杉は苦笑する。

「昨日の試合で、みんなにもバレちゃったからね。」
「バレたって・・・チームメイトにも隠してたんだよな。」

酷いやつ、そういって呆れた溜息を漏らした。

「でも、そんなこと気にしないで、全力でプレイしたかったから。そして昨日それが実現できたから・・・」

「悔いは、ないよ」

そういって、三杉は目の前で休んでいる南葛や明和の選手たちをみた。
それを松山が横目で見る。

「・・・嘘はよくねーぜ。」
「・・・え?」
「・・・お前の目が、今日あそこに居たかったって言ってる。」

ま、それは俺もだけどな。そういって、松山も目の前の選手たちを見た。
そんな松山を、今度は三杉が見る。

「・・・君って、本当に・・・」
「・・・ん?なんだよ?」
「・・いや、昨日の試合見てても思ったけど、人のことよく見てるんだね。」
「・・・見ねえと、試合できねえだろ?」
「まあ、そうだけどね。」

そう言ってお互い顔を見合わせた。
その瞬間、プッと同時に吹き出した。

「・・・まあ、お前の戦術眼にも感心したけどな。」

そう言ってニッと笑う。
その言葉に、三杉もふっと笑った。

「・・・君とも試合してみたくなったよ。」
「おお!そうだなー!!」
「・・・それに、もう一度翼君とも。」
「・・・だな!」

二人は翼を見た。
同じことを考えていた。
翼に勝ちたい、と。

「・・・じゃあ、僕もまだまだサッカーを終われないな・・・」

ふっと笑みを零すその横顔を、松山は見た。

「これで最後かと思ってたけど、でも・・・」
「・・・まだまだ、だろ?」
「・・・ああ!だから、まず心臓を治そうかな。」
「・・・え、あ・・・そうか・・・」

そうだよな。と呟き、思わず真顔になる。
そんな松山を見て、三杉は苦笑した。

「大丈夫だよ、今の医学は進歩してるし。」
「・・・そうなのか?」
「うん、父さんが言ってたから。」
「・・・そうか、なら」

そう言って、もう一度笑う松山。

「次は、試合しような!」

そんな松山に釣られ、三杉も笑った。

「・・・うん!」

その時、ホイッスルが鳴り響いた。

「「・・・あ」」

「試合再開、だね・・・」
「・・・だな」

目をフィールドに戻した。

「・・・どっちが勝つかな。」
「さあ・・・ま、お楽しみ・・・だな。」

そう言う二人の目は楽しそうだった。
いつか、自分たちが全国大会の決勝という舞台で試合をする姿を思い浮かべて・・・。





―――――――――――――――――――
2012キリ番リクエスト品です!
『小学生松山と淳さまの友情のお話』という内容でした!

あまり会話している場面見たときないので・・・
というか、多分食堂で会った時以降に会話してるんじゃないかなーと、勝手な妄想です(笑)
そして、お互いに準決勝の試合見て、見方変わるといいなーと思って♪
結構書いてて楽しかったです(`・ω・´)

リクエストしてくれたharuharu様へv
もう、焼くなり捨てるなり、好きにしてください(笑)
リクエストありがとうございましたー(´∀`*)♪

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