The feeling that I hid・後
※R15です。ちょっとだけ描写がありますので、ご注意ください!
「おっす!」
「あ!松山!!」
「松山さん!!」
朝、食堂に現れた俺にみんなが声をかけてくれた。
もう大丈夫なのか?と仲間たちは心配して俺に駆け寄ってくる。
その優しさが、俺には嬉しかった。
日向は・・・と探していると・・・
もういないみたいだった。
「もうグラント・・・か。」
いつもどおりなんだけど、ついつい探してしまった。
そして俺も練習したいし・・・とご飯をかけこんでグランドへ行った。
するとそこには、あいつがいた。
一人で走り込んでいた。
俺もランニングを始め、あいつの場所まで近づいて言った。
「よっ!」
「・・・あ?ああ・・・」
「へへ・・・っ、昨日は悪かったな・・・運んでくれたんだろ?」
「・・・!なんでそれを・・・」
「三杉から聞いたんだ。」
そう言うと、日向はふいっと俺から顔を逸した。
・・・え?
「・・・そうか。」
そういうと、あいつは速度を上げ俺から離れていった。
・・・何故?
俺まだ何も言ってねえじゃん・・・。
・・・なんで?
避けられたのか?と思うと、ショックだった。
その理由がわからなかった。
そのあともずっとそうだった。
日向は俺の方を見ない。
俺と話そうともしない。
いつもだったらあいつから近づいてきてもっとサッカーの話とかすんのに・・・
これは、明らかに避けられていた。
***
「おい、日向。」
練習が終わり、夜になったことを見計らって、俺は日向の部屋へ行った。
今回の合宿は一人1部屋だったので、こちらとしても好都合であった。
「・・・なんだよ。俺は疲れてんだ・・・」
案の定、あいつはいた。
ベットの上に寝転がっていた。
でも、明らかに出て行って欲しいという感じで俺に接してきた。
思わずムッとして、ドアを締めてベットに近づいた。
「おい。」
「・・・だからなんだよ。」
面倒くさそうに上半身を起き上がらせる。
でも、その目はまだ俺を写そうとしない。
「・・・おい!」
思わず、襟際を掴んでこっちを向かせた。
日向は驚いていた。
そりゃそうだろうな。
突然ケンカ売られてるみたいなもんだし。
「・・・離せよ。」
「・・・離したら、またお前俺をみねえだろ?」
「・・・っ!!」
その言葉に、日向は目を見開いた。
図星か・・・
「・・・お前、なんで俺を避けてるんだよ・・・」
「・・・別に、そんなこと・・・」
「ねえとは言わせねえからな!」
「・・・っ」
ぐっと、掴んでいる手に力を込める。
自分を見て欲しかったから。
これ以上、避けて欲しくなかったから・・・
「・・・なんで、お前・・・っ」
「・・・松・・・」
日向の言葉は、最後まで続かなかった。
何故なら。
きっと。
それは俺の目から涙が溢れ始めたから。
恥ずかしいし、こいつの事で泣くなんて悔しいけど。
でも、それでももっとこいつのことを知りたい。
そう思ってしまったから。
俺はその手を離さなかった。
すると。
急に腕を引っ張られ、視界が暗転する。
気がついたら・・・
「・・・ひゅ・・が・・?」
あいつが俺の腕を掴んだまま、俺を見下ろしてて・・・
「・・・っっ!!?」
突然、唇を塞がれた。
それも、簡単なものじゃなく。
思考まで溶けてしまいそうな、そんな甘く深いキスで・・・
「・・・っはぁ・・・っ」
口が開放、けど・・・その口づけに痺れて・・・うまく息が出来ない・・・
あいつが何を考えているのか・・・さっぱり、わからなくて・・・
「・・・ひゅ・・う、が・・・?」
もう一度あいつの名前を呼ぶ。
「・・・なんでだよ?」
「・・・え?」
「お前は三杉が好きなんだろ!?」
「・・・は?」
日向の言葉に思わず思考が止まった。
クソっと日向は呟いて、俺から離れていこうとした。
思わず、そのシャツを掴んで引き止める。
「・・・俺、・・違う・・・」
「・・・松・・・山・・?」
頭がまだ痺れていてうまく働かない。
でも。
今言わなきゃいけない。
そう、感じて。
「・・・俺・・・」
「・・・お前が、好き・・・」
ずっと悩んでいた気持ちは、案外すんなりと言葉にできて。
自分でも驚いてしまうくらい。
でも、日向はもっと驚いていた。
「・・・おま・・え・・」
「・・・」
「・・・だって・・・三杉は?」
「・・・なんで、三杉が・・・出てくるんだよ・・・」
「だってお前ら、昨日・・・キス・・・」
「・・・は?」
その言葉に、キョトンと思考が止まる。
なんで、俺と三杉がキスしたことになってんだ・・・?
「三杉がお前の顎つかんで・・!!」
「・・・っ!!」
こ、こいつ・・・!!
見てたのかよ!?
「お前、見てたのかよ!?」
「ああ・・・て、違っ!?俺はただ、お前がどんな様子か見に・・・」
「・・・へ!?」
・・・あれ?
気のせいか、日向の顔・・・赤い?
「・・・俺も、お前のこと心配で・・・」
「・・・日向?」
「・・・っ!・・・俺も、好きなんだよ・・・」
「は?」
「〜〜〜!!だから!・・・お前のこと・・・好きだ・・・」
ボソリと零れた言葉に、こっちまで赤面してしまう。
「・・・そう、なのか・・・」
「・・・ああ。」
・・・。
沈黙が、痛い。
そう思ってたら、日向が俺を抱きしめてきた。
(・・・あ)
なんか、今まで感じたことがない。
嬉しいって言うか、くすぐったいっていうか・・・
すっげえ、心が満たされてる・・・
「・・・松山。」
「・・・なんだよ。」
「・・・お前、心臓バクバクしすぎ。」
「・・・、るせぇ。」
仕方がねえだろ。
だって・・・
お前が好きなんだから。
―――――――――――――――――――
というわけで、2121キリ番リクエスト品でした!
リク内容は「三杉×松山か、日向×松山の最後はハッピーエンドな切ない系のお話」でしたので、今回は日向くんで!
切ないんでしょうか!?(笑)
ハッピーエンドにはなっていると思いますが・・・
あと、一応裏話のおまけもありますので、そちらもどうぞ!!
リクエストありがとうございました!!
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