Please say a true feeling



※前置き・・・このお話は既に二人が恋人で、どこかのホテルに二人で泊まっているという設定です。
では、どうぞ!!











―――君が僕のことどう思ってるか、わからないよ。




頭の中でその言葉が反響する。
その言葉を聞いてから、もう一週間立っているはずなのに。
そして今、その言葉を言った張本人と会っているはずなのに。

意識は、全く違う方向を向いていた。

「・・・だったんだけどね。」

その張本人――三杉淳は、そんなことも知らずに俺にずっと語りかけてくれている。
本当は、なかなか会えない相手、何よりも自分が好きな人と一緒にいて舞い上がってるはずなのに。
一週間前に聞いた言葉がずっと俺を縛り付けていた。

ぼぅっと三杉を見ていると、急に頬に痛みが走った。

「・・・っ痛・・っ!」

なにすんだよ、という目線で三杉を見ると、なんだか拗ねたような表情をしていた。

「・・・なんだよ?」
「・・・ねえ?僕の話聞いてなかったよね?」

図星を刺され、嘘をつくのが苦手な俺はすぐ表情に出てしまった。
それをみた三杉は、ため息をついて窓の外を眺めた。
その横顔は、実に寂しそうだった。

そんな顔をさせているのは、紛れもない自分だ。

「・・・悪い、で、何の話してたっけ?」
「もういい。」

三杉の言葉は刺さるように冷たかった。そこで俺は自分の失態に後悔する。

「・・・悪いって、な?」

機嫌を直して欲しい一心で、三杉に懇願する。すると、また三杉は俺を見て、そして目線を下ろした。

本当は一つ一つに仕草でドギマギしている自分がいる。今だって、そんなちょっとした仕草を見て、思わず手を出したくなる欲望に負けそうだ。・・・でも、それをどうしても悟られたくなくって・・・つい目線を横にずらす。

「・・・やっぱり、さ。」

三杉の口調はさっきと全然違って、暗く感じられた。その変化に驚いて三杉の方へ目線を戻すと、まだ三杉は目を伏せたまま。

「・・・やっぱり、わからない。」

その言葉に、ドキリとする。
一週間前の三杉と、目の前の三杉が重なって見えた。

一週間前、俺たちは久しぶりに会えて嬉しかったせいか、つい酒飲みすぎて二人ともだいぶ酔ってしまった。でもかろうじて俺の方がまだマシに動けたから、三杉に肩を貸してなんとかベットまで運んだ。
そしてベットに寝転んだ三杉は、今まで酔っ払ってたのがまるで演技だったかの様に急に真剣な表情になって俺をまっすぐ見た。そして、一言こう言った。

「・・・君が僕のことどう思ってるか、わからないよ。」

驚いて目を見開くと、三杉はそのまま目を閉じて寝息を立て始めた。
そして次の日になると、そんな言葉を言ったことはすっかり忘れたかの様に俺にいつもの様に振舞ってきた。

でも、俺にはそれができなかった。
あの瞬間、固まってしまった。まさか・・・自分がそう思われていただなんて・・・でも、もしかしたら酔っぱらいの戯言かもしれない、つい言ってしまったのかも・・・そんな淡い期待を抱いて今日まで過ごしてきた。

でも、今は二人ともシラフ。酔っ払っているなんて言い訳はできない状況だ。

「・・・何、が?」

急に喉が渇いてきて、かろうじて絞り出せた言葉がソレだった。自分の声が思ったよりも掠れてて、びっくりした。
そういうと、三杉の瞳が微かに揺れた気がした。

「・・・君の気持ちが。」

小さく、でもしっかりと三杉が答えた。その瞬間、急に体が重くなる。

「今日も会えて嬉しかったのは、僕だけなんでしょ?」

もういいよ。ポツリと三杉が言った。

「・・・まてよ!?なんでそうなるんだよ!?」
「だって、君は別に僕のことなんかどうでもいいんだろ!?」
「そんなことねえって!!」

「・・・じゃあ、聞きたい。」

「え?」

急にまた、三杉が俺の目を真剣に見つめた。俺も今度は目線をそらせない。

「・・・君の口から、僕をどう思ってるのか・・・聞きたい。」

その言葉にハッとする。

(そういえば・・・三杉はいつも俺に「好き」って言ってくれてたけど・・・俺ってあんまり言ってねえよな?)

思わず、手で口を塞いだ。

(でも・・・それって・・・)

段々顔が熱くなってきた。いや、顔だけじゃない、体も。
変な汗まで出てきた。

「・・・やっぱり、思ってもないことは言えないでしょ?」

そう言って三杉は自嘲的な笑みを零した。

俺は、三杉が好きだ。・・・でも、その言葉をいうのは凄く・・・ものっすごく!抵抗を感じてしまう。
ダラダラと変な汗は流れ続けるけど、今ここで言わないと・・・俺は物凄く後悔する。きっと。

ようやく決心して、三杉の両肩に両手をおいた。

「・・・松山?」
「・・・いいか?よ、よっく聞け・・・?」

三杉を見る。
・・・ああ、だめだ。恥ずかしいのと照れくさいのと今すぐ三杉を抱きしめてキスして××で△□○して・・・

ああ、一言言っちゃえばそんなことできるのか・・・?

もう、言ってしまおう。

公開先に立たず。
案ずるより産むが易い!
急がば回れ!!

「・・・俺は・・・」
「・・・・」

・・・やべ。ものっすごく緊張する。これだったらPKのがマシ。
三杉も緊張してるのか、じっとこっちを見て黙ってる。

やべえ・・・可愛すぎて、このまま・・・
でも、これを言ったらそれが達成できるんだ。

言うんだ、俺!

「・・・俺、お前のこと・・・!」

『うわ!お前ら押すな!?』
『石崎!てめえどこ触ってやがる!?』
『しょうがねえだろ!?・・・て、うわ、開いちまう!?』
『うわああああ!!!!』

大きな音と共に、アウターをかける用のクローゼットが開いた。
そして同時に見知った顔が何人もそこから飛び出てきた。

「・・・」

思わず黙ってそっちを見つめちまった。

「・・・たく、これで松山が言ったら俺が勝ってたのに。」
「松山、見損なったで!」
「・・・うわ!俺言わない方に掛けてたから1万円貰いっすね!」
「ずるいぞ新田!」

「・・・というわけだったんだ。松山、ごめんね。」

ポンっと俺の肩を三杉が笑いながら優しく叩いた。
ぎぎぎ・・・と音がなりそうになりながら顔を動かし、三杉を見る。

「・・・ど、どういうわけだよ・・・?」
「君が僕に「好き」って言ってくれたら、きっと多数の人が儲かってたみたいだよ?」
「・・・おい」

「人を賭け事につかうなあぁぁー!!!」

***

そのままホテルの部屋からみんなを追い出した俺は、独りベットに伏せた。
そしたら、カチャリとドアの開く音が聞こえた。

「・・・松山、ごめん。」
「・・・俺、お前の何なんだよ・・・」
「・・・それは、君が教えてくれたら僕も言うよ。」

そう言われて、顔を上げて三杉を見た。
そして三杉の体を引き寄せて抱きしめて、言った。

「・・・俺はお前が・・・好きだ。離したくねえ。」

「・・・僕も。松山が好きだよ。」

その言葉を聞いて、その体を更に強く抱きしめた。






―――――――――――――――――――
9876キリ番リクエスト品・その1です!
『松山くんと三杉くんの話。友情ぽいものでもBL(松淳)でもどちらでも』という内容でしたので、今回は松淳で!

話のテーマは決めてました。題名の通りです。
でも。
話の流れはあまり決めてませんでした(笑)
「松淳」とのことだったので、ヘタレ松山に再チャレンジ!・・・と思ってみたら。
書いてたらやっぱりシリアスになっちゃうんですよね><
でも後半松山かわいそすぎかもしれませんね(笑)
でもそんな松山が大好きです!!

リクエストしてくれたglass様へv
真面目じゃなくてすみません!
ぜひ受け取ってください!
リクエストありがとうございましたーv(n‘∀‘)η

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