君と居る、安心感。



後1週間・・・
そうしたら、三杉の何回目かの手術の日が来る。
その前に会いに行っておきたいと思っていた松山は、その日三杉の病室を訪れていた。

「すまないね・・・わざわざ北海道から」
「・・・いや」

いつも通りの三杉の対応に、本当にこいつが手術する人物なのか?といつも伺ってしまう。
でも・・・松山は三杉と何度か体を重ねたことがあった。
その度に思い知らされる、以前手術した時の痕を見て。
でも普段の三杉はそう思わせないくらい堂々としていて。
本当にこいつは強い奴・・・と感じていた。
そしてそんな影をも見せない三杉に、松山は段々と惹かれていて・・・。

今回の手術は「別に難しいものじゃないよ」と三杉が苦笑していたが・・・
松山にとってはそうとは思えなかった。

「・・・なあ、俺・・・今日ここに泊まっていいか?」
「・・・!松山、君は何を・・・」
「・・・心配、なんだ・・・」

そう言って松山は三杉の手を握る。

「・・・お前の方がこのことに関してすげえ詳しいのは知ってる。お前が難しくないって言うなら・・・そうなんだろうけど・・・でも、俺・・・」

そう言って俯き、キュッと手を握る力を強くする。

「・・・お前がいなきゃ・・・ダメなんだよ・・・」

ポツリと漏らした松山の言葉に、三杉も思わず顔が赤くなる。
もちろん言っている松山自身も相当赤面していたが。

「・・・そう言って貰えると、何だか嬉しいね。」

「初めてかも、手術前にそんなこと言われたの」と、今度は三杉がふわりと微笑んだ。
でも、その微笑みはすぐに消えた。
そしてそっと、三杉の手に重ねている松山の手に、更に三杉がもう片方の手を重ねた。
そして、俯いた

「・・・三杉?」

三杉のそんな態度に、松山は驚いていた。
今まであまり見たことのない様な三杉。

「こんなことをあまり言いたくないけど・・・本当は」

そこまで言って言葉を止める。
松山はその言葉の続きを黙って待っていた。

「本当は・・・・・・」

その言葉の続きは、三杉の口の動きだけで声として発せられることはなかった。
だが、その唇の動きをみて、松山は目を見開いた。

”怖い”そう唇が動いたから。

ふっと笑って手を離す三杉。

「・・・なんてね、驚かせてすまなかったよ・・・!?」

三杉は驚いていた。突然松山が三杉を抱きしめたからであった。

「ま、松山・・・!?」
「・・・言えよ、思ったこと・・・全部吐けよ。」

そう言ってただただギュッと抱きしめる。

「・・・俺が全部、受け止めるから・・・」
「・・・っ」

その言葉を聞いた三杉は、ギュッと松山の服を握り締めた。

「・・・怖い、んだ・・・手術がもし成功しなかったらって考えると・・・」
「・・・」
「それに成功しても・・・サッカーをできる体に戻すまでのリハビリ期間も長いし・・・もう、皆についていけないかもしれない・・・」
「・・・」
「・・・でも!」

松山の服を握り締める力を更に込めた。

「・・・それでも、サッカーがしたいんだ・・・!」
「・・・ああ」

そういう三杉の体は震えた。
松山は目を閉じて、優しく三杉の背中を撫でる。

「・・・大丈夫、お前は・・・大丈夫だから・・・」
「どこにそんな保証かあるって言うんだい!?」

思わず三杉が体を離し、松山をキッと睨みつけた。
でも松山を見た瞬間、すぐにハッとした表情になる。
松山はただ真剣に、三杉を見つめていた。

「お前は、絶対サッカーをもう一度俺たちとできる。」
「・・・松・・・っ」
「大丈夫だ、俺が・・・絶対保証してやる。」

松山の落ち着いた、でもしっかりした声が、三杉の心に響き渡る。
その言葉には裏付けなんてものは全くない・・・それは三杉も頭ではわかっていた。
でも、松山の言葉はそんなことすら関係なく、全てが本当になりそうな・・・そんな予感を三杉に感じさせていた。

(皆が彼に頼りたくなる気持ち・・・今なら一番わかるかもしれない・・・)

松山と一緒なら大丈夫。そんな安定感、安心感がある・・・

そう思い、三杉は松山に抱きついた。

「・・・ありがとう、松山・・・」
「・・・ん」

そう言って、松山は三杉を抱き留め、また優しく背中をさすった。

「・・ねえ、今日泊まっていってくれるんだよね・・?」
「・・・?ああ、そのつもりだけど・・・」
「じゃあ・・・今夜は、ゆっくり君をいただこうかな・・・?」
「は・・・!?お前何言って・・・そんなことすんなら帰るぞ俺は!?」

そう言って赤面して急に立ち上がる松山。
その腕を三杉が引き止める。

「・・・手術前に、君をしっかり感じておきたいんだ・・・」
「・・・っ」
「・・・君の声も、温かさも・・・」
「・・・・・・」

その言葉に、ストンともう一度椅子に腰を下ろす松山。
その顔はふてくされていたが・・・照れているようにも見えて。
そんな松山を見て、三杉はもう一度ふわりと優しく微笑んだ。






―――――――――――――――――――
3939キリ番リクエスト品・その2です!
『BL(淳松)で松山くんが三杉くんに対して余裕のあるシチュの話』という内容でした!

最初はエロ路線になってしまうー!ということばかり考えていましたが・・・←おい
でも、三杉君といったら手術に対する不安とか、あんまり見せないし・・・
でもそこで松山君がいたら少しは楽に手術が受けられるんじゃないかと。
こう、唯一全てを見せられる人が近くにいる安心感っていいですよねv
そして最後は、「この話は淳松なんですよー!」アピールを(笑)

リクエストしてくれた方へv
こんな感じ大丈夫でしたでしょうか!?
リクエストありがとうございました♪(ノ∀`)

Present TOP

[ 11/22 ]




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -