いつまでも、変わらない二人



「・・・あ」

出かけようとして家から出ると、偶然ディアスと出くわした。

「よう!名無し!」
「おはよう、ディアス」

そう言って笑い合う私たち。

私たち、そしてパスカルを含めて3人は幼馴染。
小さい頃は良く一緒にサッカーをしていた。
でも、私は次第に二人についていけなくなって、応援サイドへ回ることが多くなった。
そうしてくうちに、段々と二人は力をつけていき・・・
2年前には世界ジュニアユース大会にもアルゼンチンの選手として抜擢され、かの有名な大空翼とも対戦していた。

特にディアスは10年に1人の逸材と騒がれるほどの実力の持ち主で、幼馴染である私もそんなディアスの活躍が嬉しかった。
ディアスに対しての自分の気持ちに気がついたのも、その頃で・・・

昔はいつもやんちゃなディアスを面倒見ていたつもりだったのに、気がついたらディアスはどんどん遠くへ離れて言ってる気がする・・・
今はアルゼンチンで試合をしているけど、この前パスカルが言ってたっけ・・・
「今のディアスなら、ヨーロッパのリーグチームのどこが引き抜きに来てもおかしくない」って・・・
そんなディアスの実力を認めてもらえるのは、幼馴染としても嬉しい。
嬉しい・・・けど・・・

「どうしたんだよ?」

気がついたら俯いて無言になっていたみたいで、横にいたディアスが私の顔を覗き込んでいた。
顔が間近にあって、思わずびっくりしてしまった。

「きゃあ!?」
「お、おい!?大丈夫か?」

思わず後ろへ体を引いた瞬間、つまずいてこけそうになったけど・・・
ディアスが腕を引いて、私を助けてくれた。

「・・・あ、ありがとう・・・」

掴まれた腕が熱い。
ディアスって、こんなに力強かったっけ・・・?
昔は私よりも小さかったのに・・・

「・・・なんだかな・・・」
「・・・え?」

ディアスが手を離し、ポツリと声を漏らす。
その呟きに思わず顔を上げ、ディアスを見る。
すると、ディアスは困ったふうに頭を掻いていた。

「お前、さ・・・おとなしくなったよな」
「・・な・・・!?」

ディアス・・・?
急にディアスにそんなことを言われ、びっくりした。

「昔はもっと・・・騒がしかったのに」
「悪かったわね・・・」

思わずジト目でディアスを見る。
別に、おとなしくしたいわけじゃないけど・・・
でも、どうしてもディアスの前だと意識しちゃう・・・
女の子であるという自分を。

「どちらかと言えば落ち着いたって言って欲しいんですけど」
「でも、まあ・・・良かった。お前自身が変わったわけじゃないんだよな」

そう言ってディアスは、今度は鼻をかく。

「何かこう・・・お前が昔と少し違う感じもしてたから・・・」

そう言って、ディアスは目を逸した。
思わず、こちらがポカンとしてしまった。
そのことを考えてると、段々笑いがこみ上げてきて、思わず吹き出した。

「・・・名無し!?」

ディアスは驚いてこちらを見ていた。
でも私の笑いは止まらない。
だって・・・

「・・・だ、だって・・・っ、同じこと考えてると思わなかった・・・っ」

そう言いながらアハハと笑う。
未だにディアスはぽかんとしている。
思わず出てきた涙を指で拭いながら、もう一度ディアスを見た。

「・・・私も、ディアスが段々遠くに離れてくみたい・・・って、ずっと思ってた」
「・・・名無し・・・」
「だってあなたたち二人、今じゃアルゼンチンのスターじゃない。それにディアスは・・・いつ世界のチームに引き抜かれるかわからないし・・・」
「・・・」

その言葉にディアスは黙った。
私は溜息を漏らした。でもこの溜息は、安心したってサイン。

「・・・でも、ディアスも私のこと同じように思っていてくれたんだよね・・・?”変わって欲しくない”って・・・」
「・・・ああ」

そう照れくさそうに返事をするディアスが可愛くて、思わず笑顔になる。

「ありがとう、私・・・嬉しい。」
「・・・!」

今だけ、素直になれると思ったからそう伝えると、目の前のディアスは顔が赤くなっていた。

「あー、照れてるでしょ?」
「ば、バカ!そんなことあるわけねーだろ!!」

そう言ってディアスの頬を突っつくと、慌ててその指を払いのけた。
そうやってムキに反応するところ、全然変わってないね。

本当だ、私の知ってるディアスはここにいて・・・
ディアスも同じように私のことを思っていてくれたんだね。

できれば・・・私への想いも、私がディアスに想っているのと同じならもっといいんだけどな・・・

「・・・どうしたんだよ?」
「・・・別に?」

そのことを考えるとついつい笑ってしまう私。
でも今は・・・どんなに大きくなっても考えることは一緒ってわかっただけで嬉しいから。






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3210キリ番リクエスト品です!
『ディアス夢の話』という内容でした!

ディアスの夢は初挑戦です!
幼馴染だけど気がついたら相手が変わっているようにみえて・・・なんだか悲しいような。
でも、実際に感じていたのは二人一緒で。
ちなみに今回のディアスの一部動作にも注目です!
男女の行為からわかる心理動作を用いてみました(笑)

リクエストしてくれたみる様へv
こ、こここんなのですみません><
もう、焼くなり水に流すなり、好きにしてください(笑)
リクエストありがとうございましたーvヽ(*´∀`)ノ

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