14日、幼馴染の女の子に呼び出された。
14日ということはもしかして…。
さすがに僕でもその日の意味はわかっていたから、だから僕は…――。


Case2 〜Taro Misaki〜



幼馴染って、どこまでのことを言うんだろうか?
翼くんや石崎くん、松山、小次郎…
みんな幼馴染って呼ぶなら、彼女のことも入ってると思う。
名無しさんちゃん。
南葛小で翼くんや早苗ちゃん達と一緒だったクラスメイト。
彼女も早苗ちゃんとよく一緒に僕たちの応援に来てくれてたから、僕らはすぐ仲良くなった。
その後に僕は転校して…また戻ってきて。
高校も一緒で…
高校の時もマネージャーではなかったけど、よく応援しに来てくれた。
そんな名無しさんちゃんとは、今でも翼くんや石崎くんみたいに連絡を取り合っていた。
そして彼女の口から一週間前に連絡が来て。

「岬君、14日ってあいてないかな?」

その言葉に僕はドキッとしてしまった。
14日といっても、今月の14日は全然意味が違う。
そう、バレンタインデー。
もちろん僕は空いてると答えて約束を取り付けた。

携帯をきると、僕はどうしようかと迷った…が、決めた。
名無しさんちゃんにはいつも応援してもらってるし、何か感謝したかった。
名無しさんちゃんの応援だから、いつも力になってる。
そのことも伝えたかった。
そしてこれからもできれば応援して欲しいと。

「別に、男があげても問題ないよね?」

誰に聞くわけでもなく僕はつぶやき、立ち上がった。
幸い、父さんがしょっちゅういないから、料理の腕も少しは自信がある。
ぼくは決めて、買出しをしに玄関を飛び出した。

―――――

そして当日。
約束の時間に、約束の場所で、名無しさんちゃんを待つ。
少し早く来すぎちゃったかな…と自分でも思う。
でも、実は少し期待してるから…なんだろうな。

「岬君っ!」

走って名無しさんちゃんがやって来た。

「名無しさんちゃん!」
「ご…ごめんね!?遅れちゃって…」
「いいよ、気にしないで!僕も早く来すぎちゃった」

はははっと笑いながら言う。
名無しさんちゃんも少しホッとしたみたいだし、よかった。

それから僕たちは近くの公園のベンチに座った。

「あ、あのね…」

突然名無しさんちゃんが緊張しながらバックの中をガサゴソと探していた。

「…!!」

…と思ってたら、突然動きが止まった。
どうしたんだろう?

「あ、えーと…」
「どうしたの?」
「…渡したいものがあったんだけど…忘れた、みたい…」

泣きそうな顔でこっちをみる。
一瞬キョトンとしてしまったが、その言葉に思わず笑ってしまう。

「あははは…っ」
「…わ、笑うことないじゃん!」
「い、いや…ごめん、なんか名無しさんちゃん変わってないなーと思って」
「…うう…」
「…嬉しいよ。」
「…え?」
「あのね…僕も今日名無しさんちゃんに渡したいものがあるんだ」

そう言って僕は昨日作ったチョコレートケーキを名無しさんちゃんに渡した。

「岬君、これ…」
「いつも応援してもらってるお礼、ありがとう」
「ええ…っ!?」
「僕から渡してもいいかなと思って」

おかしかったかな?と聞いてみると、ブンブンと首を横に振ってくれた。

「ありがとう…嬉しいよ。」
「それ、僕のセリフだよ。」
「え、私のセリフだよっ!だって忘れてきたし…」
「じゃあ…」

「お互いのセリフってことにしておこうか。」

ね?と提案すると…うん、と頷いてくれた。

「でも、私本当にダメダメだー…」
「…忘れたから?」

かわいいなと思いつつ、聞いてみる。

「うん、今年こそ渡してちゃんと岬君に告白しようと…」
「…え?」
「…っっ!!!」

しまった!と言わんばかりに言った本人が驚き慌てて口を塞いだ。
でも、その言葉はちゃんと僕の耳に入ってきていて…

「…な、なんでもない!帰ろうか!!」
「…帰るの?」
「え、だ、だって!!岬君の迷惑に…」
「僕、名無しさんちゃんの口からはっきり聞きたい。」

思わず名無しさんちゃんの腕を掴んで引き取めてしまった。

「岬君…っ」
「うん。」
「…っ、ずっと、好きだったの…」

僕が腕を掴んでしまったから、逃げられなくて、名無しさんちゃんは顔を真っ赤にしながら背けて告げる。

「…ありがとう。」
「…え?」
「僕、嬉しい。」

「ずっとそうなったらなって、思ってたから。」

ちょっと恥ずかしくなったけど、笑いながら僕も告げる。
名無しさんちゃんは驚いて僕を見ていた。

「僕も名無しさんちゃんのこと好きだよ。名無しさんちゃんが応援してくれるから、僕は頑張れる。」
「…、岬…君…。」
「これからも、ずっとそばで応援して欲しいな。いいかな…?」

僕は自分の正直な気持ちを話した。
名無しさんちゃんは受け取ってくれるだろうか…?
不安になり、名無しさんちゃんを見る。
すると、名無しさんちゃんはまた言葉もなくブンブンと首を縦に振ってくれた。
そして、僕に言ってくれた。

「私の方こそ、ずっとそばで応援させてください…!」
「…うん!」

僕の返事に名無しさんちゃんは嬉しそうに笑ってくれた。
僕もすごく嬉しくなった。
名無しさんちゃんの腕から手を離し、ちゃんと手を握り締める。

「…!」
「僕、名無しさんちゃんからのプレゼント欲しいから、一緒にこれから取りに行こう?」
「…うん!!」

名無しさんちゃんはまた嬉しそうに満面の笑みを浮かべてうなづいてくれた。
僕も釣られて笑ってしまった。

これからいっぱい二人で楽しい思い出つくっていけたらいいな。
名無しさんちゃんの家に行く途中、名無しさんちゃんをちらっと見た。
相変わらず嬉しそうにしてくれている。
名無しさんちゃんをみてたら、僕の願いも必ず叶うと思った。
名無しさんちゃんがそばにいてくれるから…。

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