The last person -happytime-(サンターナ夢)
ため息をつき、横目で時計を見つめる。
ただいまの時刻、PM22:45。
今日に限って大事な恋人からは何の音沙汰もない。
まめな人だから、よく連絡くれるはずなのに…。
今日は、私の誕生日なのに…。
別に気にしてない・・・けど・・・。やっぱり・・・ちょっとガッカリしてしまう。
「はぁ・・・」
私は何度目かの溜め息をつき、携帯のメールでもう一度問い合わせをかけてみる。
[新着メッセージはありません。]
本日、これをみたのは何度目だっけ・・・。もう、諦めようかな…
私は立ち上がり、ベッドに横になり、目を閉じた・・・――
***
カチ・・・カチ・・・カチ・・・・・・
今日に限って時計の音が気になってなかなか眠れない。もう時計を止めちゃおうかと何度も思う。
チラッと時間を確認すると、PM23:47。
眠れなくて、時計を確認してしまう。気がつけば、大体5分置きくらいに確認してしまってる気がする。段々目頭が熱くなってきた。
苦しいよ・・・・・・今日と言う日に限って連絡が全くないし・・・いつもはこんなに気にしないはずなのに。私はこんなに弱くなっちゃったのかな・・・?
布団に潜り込んで、顔を手で覆う。どうしても我慢できなくて、涙がこぼれてしまう。
ふっとまた時計を見てしまった。
PM23:56。
私が期待しすぎたんだろう・・・彼は多忙の身だし・・・。でも連絡の一つくらいよこす時間はあるはずよね・・・?
二つの感情が自分の中で駆け巡り、混沌とする。
もう、いいや・・・
本当に諦めた、時・・・――
「――・・・っ!?」
何か、いや、誰かが私を布団の上から抱き締めている。
・・・誰・・・っ!?
声が出なくて、恐怖と困惑に包まれていると・・・
「・・・Happy Birthday、名無しさん。」
優しい囁きが私の耳に聞こえた。
「・・・・・・!!」
私はそれを聞いて、抱き締めていることも忘れ、勢い良く身を起こした。
「・・・カルロス!?」
よく見てみると、そこには優しく微笑んだカルロスがいた。
「・・・っ」
思わず私は口元を抑えた。
「・・・PM23:59。間に合ったみたいだな。」
「・・・え・・・」
「名無しさんの誕生日に。」
「・・・」
そうして、彼は優しく微笑んだまま、私を抱き締めた。
「今日は連絡しなくてごめん。でも、どうしても驚かせたかった。」
「・・・なんで・・・」
「名無しさんの中で、印象を残せるような誕生日にしたかったんだ。考えたんだが・・・これが一番かな、と」
「・・・え・・・」
「一番最後だと、ずっと名無しさんの記憶に残ると思って・・・でも、すまない・・・こんなに悲しい顔にさせてしまったな。」
そういうとカルロスは体を離し、そっと私の涙がたまっていた目元に口付けた。
私は暗い中でも、自分の顔が赤くなるのを感じた。
「・・・・・・っ」
「名無しさん、すまない・・・」
真剣な顔で謝ってくるカルロス。そんな彼を見て、このサプライズは彼なりに一生懸命に考えてくれたのかと感じて、嬉しさから涙が次々とこぼれてきた。
「・・・名無しさん!?」
カルロスはそんな私の気持ちがわからないから、凄く慌てている。早く訂正しなきゃ。
「・・・違う・・・の・・・っ・・・・・違・・・」
嗚咽のせいでうまく言葉が繋がらない。だから私はその代わりにカルロスに抱きついた。
「・・・っ・・・名無しさん・・」
「・・・嬉し・・・かった・・・」
「・・・え?」
「カルロスが…そこまで考えてくれてるって・・・知らなかったから、私・・・嬉しか・・・っ・・・」
やっぱり言葉が最後まで言えなかった。でも、少しでも伝わってるかな・・・?
「・・・!」
カルロスが私をさっきよりきつく抱き締めてくれた。よかった・・・伝わったみたい。
***
「名無しさん、ケーキも買ってきたから、明日食べよう。」
「うん・・・。」
あの後、私達はお互いを求め合った。そして今はそんな彼に寄り添って、ゆっくりした甘い時間を過ごしている。
結局最後には、とても幸せな時間が私に舞い降りた。こんな誕生日もたまにいいかなって思ってしまう。
「・・・名無しさん」
「・・・ん、なぁに・・・?」
「手を出してくれないか?」
「え・・・?」
そういってカルロスは私の手を取り、指にはめた。これは…
「・・・うそ・・・っ」
驚いて自分の指とカルロスを交互に見る。
「改めて・・・誕生日おめでとう、名無しさん・・・そしてこれは・・・」
そう言うとカルロスは私の指にはめた指輪に口付けた。
「これはお前が俺のものという証だ・・・」
「・・・っ」
嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちでいっぱいになる。
今年の私の誕生日は、愛しい彼のサプライズがいっぱい溢れていた・・・。
―――――――――
これは去年の11月頃、「ワカドシヨリ〜実は青春真っ只中〜」のみる様へ、誕生日のお祝いとして捧げたサンターナ夢です!
これは文を少し修正してあります。
サンターナはきっとこういうことを一生懸命考えてくれそうだなと思い・・・というか、彼女をものすごく大事にしてくれそうなイメージです。
そばにいたら、幸せになれそうです(笑)
みる様、おめでとうございます!!
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