Beast



合鍵*

(大学生ゾロ×高校生ルフィ)




寒空の下、小さく震えた肩をそっとそっと撫でた。





講義終わりに教授に頼まれた部屋の片付けをしたせいか、帰る時間にはもう辺りは真っ暗で。街灯がパチパチと音を立てれば、ツンと冷たい風が頬を撫でた。
アパートの古びた階段をゆっくり上がれば、空を見上げる。ぼんやりと青い月が俺を照らして、星がキラキラと雪粒のように輝いた。

ほうっと吐いた息が白く濁って。ポケットに突っ込んだ手で部屋の鍵を握った瞬間、ドアの前に座り込む影が見えて。


「おかえり、ゾロ。」


鼻の頭を赤くして、にっと笑った恋人がふわりと立ち上がれば、俺は堪らず駆け寄って、その冷えた身体を強く抱き締めた。

「なんで、こんなとこにいんだよ。」
熱を分け与えようと、身体を更に寄せてそっと黒髪を撫でれば
「会いたかったから。」
そう真っ直ぐな言葉が返ってきて。

「連絡くらいしろよ、馬鹿。」
冷たい空気に赤くなった頬を、ポケットで温めていた手のひらでそっと包めば、細い指がドアを指して。

「携帯、昨日、ゾロんちに忘れた。」
と悪びれる風もなく、ししっと小さな笑いが返ってくれば、何だかルフィが愛しくて、堪らず柔らかなそこに口付けた。




唇から熱を分け合って、
愛を繋いで、
凛とした空気を溶かすように、

柔らかな舌をゆっくり絡めた。




次の休み、ルフィと一緒に合鍵を作りに行こう、そう小さく決心すれば、唇を離して愛しい瞳をじっと見つめた。真っ黒な瞳に丸い月と、数えきれんばかりの星空が映って、あぁ綺麗だ、と俺はまた白い息を吐いた。



「ただいま、ルフィ。」


本来、初めに告げるべきだった言葉を囁いて、冷えた額にキスをすれば
「それより携帯…!」
と色気のない言葉が返ってきて…






細い身体をドアに押しやって、
冷たい顎に指を添えれば、
もう一度、


深い深い、キスをした。










2012/11/28
/合鍵にお揃いのキーホルダー。どうせ、手を繋いで二人で帰るのだから鍵はひとつで充分なのに。




*

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