Beast



雪の妖精



「あいしてる」
きっとそれだけじゃ足りなくて






「寒いなぁ〜」
と、どこか嬉しげなルフィの声。

空は快晴、足元を埋めるのは真っ白な雪。
サクサクと鳴る、新雪の音が心地よくて、なんだか嬉しくて…




「ゾロー!」


少し前を歩いているゾロの背中に飛び付いてみる。
お、と声を上げるも軸のずれることのない身体。

「なんだよ…、ルフィ」
ぶっきらぼうな言葉なのに、優しい笑みと、黒髪をくしゃくしゃと撫でる温かな手のひらが、愛を伝えて。


「なんか嬉しいから、ゾロにも分けたげようって!」
とぎゅうっと大きな背中に胸を押し付ければ、まだどこか幼さを残す可愛い可愛い船長が、クスクス笑って…

「伝わった?」
なんて、真っ黒な瞳にゾロを映して。





「伝わんねぇな…」



なんて意地悪な言葉。

ゾロの手のひらが、そっとルフィの腕を取って

「伝えたいなら…」
自らの身体から離して…




「こうするんだ…」



そっと正面から抱き締めた。


温かいゾロの胸、響く鼓動。
近くで聞こえる白い息遣い。

優しい大好きな、その顔。






そっと瞳を閉じて、背伸びして
冷たい唇と唇を合わせた。

少しかさついたそこを
軽く舐めて


ふたりで見つめ合えば…



雪のベッドへ
そっとそっと身体を倒して…




「あいしてる」


真っ白な雪も
君の後ろの青空も


そして、君を…




「あいしてる、だから…」


ゆっくりと瞳を閉じて
その甘く温かな唇で…




「キスして」











/雪の妖精は、私たちに素敵なプレゼントをくれました。
2011/12/14




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