Beast



熱い唇*

(新婚ZL)




手の甲にキスをして
「すきです」だなんて…






隣に寝転ぶ可愛いハニーは、ゲーム画面に釘付けで。
欠伸のせいで、溜まった涙が液晶の光を移してキラキラ輝いた。
「ほら、早く寝ないと、明日も早いだろ?」
と綺麗な黒髪を解いてみる。

内心、ゲームに嫉妬しているなんて、言えるわけがなくて。
そっと小さな身体を引き寄せて、抱き締めてみる。

なぁ、こっちを向けよ…

そう、伝えたくて。




なのに、

「ちょっとだけ、待ってっ…もう、すぐ、だからっ」
なんて必死になってボタンを押して、甘い声でおねだりまでして。愛しい愛しいルフィは、パタパタ足を揺らして、またゲームの世界へ逆戻り。




いつもなら「一緒にやろう」と誘ってくるのに。
いつもなら「コイツが倒せないんだ」と頼ってくるのに。


不思議に思って、後ろからそっとゲームを見下ろせば…




画面に映った、綺麗な青年の優しい表情…

「すきだよ…」
なんて甘ったるい声で囁く愛の言葉…


それは俗に言う…
"乙女ゲーム"




バッとゲーム機を取り上げて、細い肩をぎゅうっと抱き締めた。

「現行犯逮捕だ…」
意図もせずに出た低い声に、自分でも驚いて。

「俺の前で、浮気、か…?」
ルフィの肩がふるりと振るえるのが、抱き締めた腕を伝わって…


嗚呼、なんて大人げないんだろう。


でも、それでも




「お前は俺の、だろ…?」




何故だか不安に思う自分がいて。



ルフィがすきで堪らなくて。
愛しくて、愛しくて…

きっともう後戻りできないくらい
愛しているから、




「俺以外の"男"なんか見るなよ…」




ジッと、見つめあって…

そっと額を合わせれば、




どちらともなく、唇を合わせた…






「ねぇ、ルフィ?ゾロをもっとメロメロにさせたくない?」
クスリと笑ったナミの手には、可愛いピンクのパッケージ。

「このゲームをクリア出来れば、今以上に恋愛上手になるかもしれないわよ?」

差し出された中身は、見たこともないゲームのカセット。



電源を入れれば、綺麗な顔をした男の子が沢山現れて。
「君がすきだ」と微笑んでくる。

遊園地に言ったり、昼休みに一緒にお弁当を食べたり…


そして最後にはみんなこう言う…


「アナタが好きです。」
「僕と付き合ってくれませんか?」




おれの答えはいつだって
「ノー」




だって
おれにはゾロがいるのだから。

例えゲームだとしたって
ゾロ以外では駄目なんだ…!



でも…

「クリアしたら、ゾロをもっとメロメロに出来るかも」
そんなナミの言葉が頭に響いて…



どれだけやっても終わらないゲーム。

あぁ、ナミにゲームのエンディングを聞いておけばよかった。

バトルゲームなら、敵を倒したらクリア。パズルなら完成。RPGなら目的地に着いたら…

他のゲームなら、ゾロと一緒にクリア出来たのに…

今回のゲームはいくら頑張ってもエンディングにたどり着けそうもない。



今晩もまた、観覧車の中で
「すきだよ…」
なんて告げられて…


これがゾロだったらな…
なんて考えて、なんだか笑ってしまう。

ゾロはきっと、そんな言葉言わない。


だって、



だって…








唇を離して、また見つめあって…


ふたりで笑った。




「ゾロのキスは温かいな…」



確かめるように、唇を指でふに、と押して。
なんだか、幸せな気分になって、


今度は、




深く長い、キスをした。








ベッドの脇に膝まづいて…
そっと手を取って口付けて…

「アナタを世界で一番愛しています」

なんて…




そんな"おままごと"
私はもういらないの


欲しいのは
もっともっと情熱的な




貴方からの熱いキス…










/貴方だけがくれる熱い唇で、私は永遠の愛をみるの
2011/12/11




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