鳥籠の中の青い鳥
広い世界の真ん中で
ただひとり貴方に逢いたくて
ふと大きな背中を見て、泣きたくなった。
あぁすきなんだな、なんて当たり前のことを思って。ゆっくり背中に抱きついて深く深く息を吐く。
時々、無性に恐くなるんだ。
世界の中で独りぼっちなんじゃないかって。
凄く凄く恐くなる。
だから一番大好きな腕に抱き締められて、たくさんたくさん泣きたくなるんだ。
けど、絶対に泣かない。泣いたら、きっとゾロも悲しい顔をするから。おれは絶対に泣かない。
そう決めて、ゾロの温かな背中に顔を埋めて。
腕を引かれて、抱き締められて
「大丈夫だぞ。」
なんて。反則だ。
そんな風に甘い声で、そんな風に優しい笑顔で、おれを目一杯甘やかして。だから、
だから、やっぱりおれは泣いてしまうんだ。
涙を拭われて
「どうした?」
なんて心配そうに訳を聞かれて。
ゾロがすきすぎて苦しい、なんて。
言えるわけがないのに。
声が出せなくて首を横に振って、涙が止まらない目元を必死に擦って。でも涙は、まるでゾロに向ける愛のように、たくさんたくさん溢れた。
独りぼっちが恐くて
幸せを掴みたくて
追いかけて追いかけて
辿り着いたのは
いつもの貴方の隣
ゆっくりと瞳を閉じて、キスをした。
お互いの髪を撫でて、
お互いの頬に手を添えて、
お互いの心を溶け合わせて、
キスをした。
不安で仕方ない時はキスをしましょう?
する相手がいないって?
ほら、貴方の周りには幸せが溢れてる。
/幸せは、ほら、鳥籠の中の青い鳥。一歩踏み出せばそこにある。
2011/05/24
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