Beast



震えて泣いて抱き締めて*

(新婚ZL)


まるで何かに怒っているかのように
大地が地球が震えた




普段と変わらない夕方。
食卓に皿を並べて、大好きな旦那様を待つルフィに、いきなり、地震が襲いかかった。
ガタガタと激しく食器棚が揺れて、大切なお皿もマグカップも、すべてすべて粉々。

揺れた瞬間は恐くて、体が固まって、危ないっと気付いた瞬間にクッションを抱き締めてテーブルに駆け込んだ。
綺麗だった新居はグシャグシャ。

恐怖で震えながら寝室に向かって、大好きな人へと電話をかける。


でも…

繋がらない携帯電話。
それは混乱からの集中アクセスのせいか、それとも彼の身に何かあったからなのか、ルフィには答えを出すことが出来なくて。

恐くて恐くて、彼の枕を抱き締めて。

「ゾロ…ゾ、ロ…」
と何度も呟く。

あまりの非常事態に、その場から動けない。体が震えて、体の芯から悪寒が走る。


ポタポタと零れた涙を枕が受け止めて…
まだ少し揺れている寝室のライトがそっとルフィを照らした。




「ルフィ…ッ!!」

あれから、どれほど経っただろうか。
辺りは暗くなっていて、窓から見える遠くの空に煙が見えた。

皺だらけのコートを脱ぎ捨て、大好きな大きな腕がルフィを抱き締めて…

「生きてて、よかっ、た…」
ぎゅうっと大切な彼を抱きしめた。

枕を抱いて、震える肩。携帯を握り締めて、変色しそうな手のひら。
全てがまだ温かくて、不謹慎だが、涙がでるほど幸せだった。




今朝、「いってらっしゃい」を告げた唇を
何度恨んだことだろう。

今朝、会社鞄を差し出した腕を
何度呪ったことだろう。


でも今、その唇で、その腕で
私は彼を感じてる。










/震えて泣いて抱き締めて、そして貴方を確認する。あぁ…生きてるんだ、私達。
2011/03/16




*

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