王様の宝物
(ゾロbirthday)
きれいなきれいな
銀色おりがみ
きらきら光って
貴方に届け…
今日は、待ちに待ったゾロの誕生日。
今日のために一生懸命用意したプレゼントを背中に隠して、ルフィはトレーニング中のゾロの元に走る。
サンジに野菜を仕入れたときのダンボールを貰って、フランキーにカッターの使い方を習って、綺麗な折り紙をチョッパーと選んで、きらきら輝くビーズをナミとロビンに貰って。ウソップにテープを借りて、ブルックと一緒にぺたぺた。
出来上がったプレゼントは完璧!
きらきらに輝くそれは世界でひとつ!
「おめでとう!ゾロ」
と満面の笑みで差し出されたのは、銀色の折り紙がベタベタと貼られたギザギザの輪っか。ダンボールで作られたそれは、ルフィの手作りのようで、どこもかしこも何だか歪。
それでも、幸せだと感じて。
「ありがとう、ルフィ…」
と相手の白い額にキスをする。
にしし、と笑う愛らしい頬を撫で、好きで好きで堪らなくて、大きな丸い瞳を見つめれば…
もう一度、唇を合わせる。
「じゃあ、今日は1日王様なっ」
とルフィが潮風に揺れる緑の髪に、そっとそっとプレゼントを乗せて…
「うんうん、よいよっ」
とニコニコ笑う。
ゾロの頭には少し頼りのない王冠が
夕日に照らされ輝いていて…
ぎゅっと繋いだ温かい手に、キッチンへと導かれる。
「みんな待ってるから、早く!」
とゾロを急かす愛らしい声に、心が揺れて…
「もう少し…ふたりっきりでもいいだろ?」と相手の小さな身体を引き寄せ、ギュウッと抱き締めた。
「すこしだけ、な…?」
と背伸びのキスが愛おしくて、離してやるものか!ともっと強く抱きしめて…
大きな王様の小さな我が儘…
世界で一番の宝がほしい。
気付けば、ほらね?
腕の中。
/王様の宝物は大切な大切な愛しい人。
2010/11/11
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