まんまるきいろ*
(お月見+新婚さん)
まあるい月に
かわいいあなた。
まだまだ暑い秋の夜。
ふたりで一緒に月を見上げる。
一緒にお風呂に入って、一緒に浴衣を着て、今年はまだ暑いな…なんて一緒に笑った。
旦那様の浴衣姿は、丸い月より凛としていて、綺麗で。愛おしくて……
ぎゅうっと体を寄せる。
お風呂上がりの濡れた髪から、お揃いのシャンプーの香りがして、あまりに嬉しくてクスリと笑った。だって、だって、すきなんだから。だって、だって……
「今夜は雲もなくていい月見日和だな。」
なんて。
きっと「月見酒だ月見酒だ」と、喜ぶだろうと用意しておいたお酒を放って、自分を抱き締める温かい腕。実を言えば、お酒を飲むときにコクコク動く喉仏がすきだなんて、恥ずかしくて言えなくて。
「うん…綺麗な月……」
なんて。
見てもいない月に、なんだか嫉妬。
もっとおれだけ見てほしいのに。
月見酒より、満月より、おれを見てほしい。おれだけでいっぱいになってほしい。
全てを忘れて、「愛している」といつもの甘い声で囁いてほしいのに!
今夜のゾロは満月に夢中。
浮気だ、浮気だ、浮気だ…
ぴったりと引っ付けていた肌を離して、相手をジッと見上げる。深い緑の瞳に映るのは、まんまるなお月さま。
少し強引に、相手の頬を手のひらで支えて、チュウッ!と唇を合わてやる。驚いたように見開いた瞳には確かにおれが映っていて……
「月に映るお前を見てたんだ」
なんて、嘘ばっかり。
お月さまは、おれを映してなんかいない。
でも、でも、いいよ。許してあげる。
貴方の瞳に映った月があまりにも綺麗だったから。だから、
月に見せつけるようにキスをして。
/浴衣姿のお前があんまりにも可愛くて。俺は火照る顔を隠す為に、まんまるきいろな月を見上げる
2010/09/22
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