Beast



明るい太陽



愛してる愛してる

だから…
お前を愛してる






ゆったりと無人島は、ポカポカと温かな太陽が降り注ぐ良い天気。
これは絶好の昼寝日和…のはずなのだが、今日に限っては全く寝ている場合ではない。


今日は今日は大切な…
恋しい人の誕生日なのだ。




無人島であるからして、何かを購入するわけにはいかないし、だからといって工夫をするような器用さを、ゾロが持ち合わせているわけもない。


チラリと真っ青な海を見つめる。
「魚…は、ウソップが釣るだろ?」

昨年の晩御飯に並んだ、艶やかな魚に瞳を輝かせる、愛しい愛しい恋人が浮かぶ。


緑に覆われたジャングルを見つめる。
「肉…なら、コックが何か作るだろ?」


頬いっぱいに含み、嬉しそうに食事をする、あの愛らしい笑顔が浮かぶ。


毎度のことを考えれば、ナミとロビンは洋服を、チョッパーならお菓子を、フランキーは手作りの玩具を…新入りのブルックなら歌をプレゼントするのだろう。


「俺はいったい、何をやればいいんだ?」

俺からのプレゼントは俺だ、なんてキザなこと、ゾロにはとうてい出来なくて……




夕日が沈む空を見上げて…
ふと足元に目を落とした。






「ルフィ、おめでとう!」
船内に明るい声が響く。

皆それぞれ、思い思いのプレゼントをルフィに手渡す。

テーブルに並んだ沢山の美しい魚に、香ばしく焼き上げられた肉料理。明るい色をしたシャツも、可愛い甘い金平糖も、ぜんまい仕掛けの小さなヨットだって…

みんなみんな、
ルフィを笑顔にさせた。




ついに、ゾロがプレゼントを渡す番。
クルー全員がゾロをジッと見る。普段不器用なゾロが、いったい何をプレゼントに選んだのか、皆気になっているのだ。


「えっと…だな…」

こんなもので、ルフィは喜んでくれるんだろうか?

「色々、探したんだが、これぐらいしか…俺には見つけられなくて…」




クリクリとした黒い瞳に、パッと明るい黄色が映る。

それは…少しせっかちな、大きなひまわり。


「誕生日、おめでとう…ルフィ。」




ゾロの髪が、まるで夏の緑のようにふわりと揺れて…

ルフィの麦わら帽子に、大きなひまわりが咲いた。




ルフィの顔が見る見る赤くなって、嬉しそうにニッコリ笑って…

「ゾロ、大好きだ!」
と小さな体がゾロに飛び付く。
「ありがとう、すごくすごく嬉しい!」


ギュウギュウと、しがみついてくる愛しい人を見つめて…

「俺こそ、ありがとう…お前に会えて、本当によかった。」


キスしようと、そっと柔らかな頬に手を添えて…

ゆっくりと、唇を近づけて…




「さぁさぁ皆さん、まだ私からのプレゼントが残っていますよ!」

なんとも、空元気な声に邪魔された。








ひまわりの王冠を被った、愛らしいプリンセス。
さぁ、今夜はベットで踊りましょうか?










/明るい太陽を見上げて、あぁまだ春なのか、と微笑んで。
2010/05/05




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