扉のスキマ*
(同マンションZL)
大好きだ、と振り返って…
ずっとずっと傍にいたくて、一日中、愛しい人を抱き締めて。
特別でも何でもないキスを、静かな公園のベンチで交わして、噴水の音に耳を貸して。
まるで日常のような、甘い甘いバレンタイン。
ルフィからのプレゼントは、チョコレート混じりの可愛いキス。
ゾロからのプレゼントは、ほんわかビターの香るハグ。
同じマンションの上と下。
すぐ傍のようで、遠くて遠くて…
会いたくて……
月が出て、キラキラ輝く星が覗けば…
2人でホテルのベットに潜って…
チョコレートなんかより、甘い言葉を囁きあう。
それだけで幸せ。
それだけで、幸せなのだ。
温かな腕の中…
愛らしい声が響いて…
2人で深いキスを交わして、
細い足がゾロの腰に絡む。
たくさんの「すき」を呟けば
たくさんの「愛してる」を返されて…
嬉しくて嬉しくて
涙がこぼれた。
ふたりで手を繋いで、いつものマンションに帰れば、エレベーターに乗り込んで。
小さな空間で、また名残惜しげにキスをして……
キスキスキス
だって今日は特別だもの。
すきすきすき
それはいつものことだけど。
ポンとルフィの部屋の階に着けば、エレベーターの扉が開いて、チュッと最後にキスをして。
「またね」とお互い手を振って…
扉がゆっくり、ふたりの視線を遮って…
ガンっ
という音と共に、大きな手が扉を止めて…
また唇と唇が触れる。
どうしよう…
どうやら今夜は彼がお泊まりするらしい。
/扉のスキマでキスをして。あぁ君の顔がもっと見たい。
2010/02/12
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