冬の月
寒い寒い冬の空気さえ
幸せな色に塗り替えて……
「ゾロっ、さみぃだろ?」
と毛布を抱き締め、見張り台に登ってきたルフィは、風呂上がりなのか濡れた髪をそのままにゾロににっこりと微笑んだ。
誰にも見せない甘い微笑みを見せれば、ゾロの腕がルフィに伸びて、ギュッと相手の背中を抱きしめる。
「お前こそ、寒いだろ?」
と優しい手付きで、ルフィの首に掛かったタオルを取って、濡れた黒髪を拭いてやる。
「しし、ゾロがいれば寒くねぇんだっ。おれは。」
と幸せそうにゾロの暖かな胸に頬擦りすれば
「そりゃ嬉しいが、やっぱりちゃんと拭いとけよ?」
とこちらも幸せそうに、相手の頬を撫でる。
愛おしい恋人を見つめる、凛々しい瞳と、熱い愛に震える睫が近付いて……
そっと唇が触れ合って…
寒い空気を忘れるくらいに
愛し愛され、愛し合って……
おれ達は月を見上げる……
/貴方と私と冬の月。
2010/01/07
*
[ 71/99 ][prev] [next]
Back