Beast



溶ける心


あぁ……お願い……
雪のように溶ける心を…

どうか、


どうか、止めて…






湯船の中で背中から抱き締められる。
お湯の中では全く力が入らないから、おれは必然的にゾロの首に腕を回して、自らを支える。
今夜は珍しく、背中をゾロに向けて膝に座ったために、おれは随時万歳をしている体勢で、少しでも腕の力を抜けば、安心できる膝の上から滑り落ちてしまいそうで、恐くて恐くて堪らなかった。


早くゾロの顔がみたい
早く強く抱き締めてキスしてほしい……

瞳を堅く瞑って、懸命に腕に力を込めて、ゾロのことだけを考える。




と、いきなり片足が持ち上がって、指先に熱い何かが這う。

「ひ、あっ……ゾ、ロぉ……だめぇ」
ゆっくり上を見上げれば、おれの足先をチロチロと舐める相手の赤い舌が見えて……

「汚い、からぁ…」
抵抗しようにも湯船の中では力が入らない……

「さっき洗ったばかりだろ?」
と、ゾロは片手でおれをしっかり抱き締めて、おれの足を口に含むと、またピチャピチャと唾液を絡めた。


何とも言えない気持ちになって…

恐ろしいと思う臆病な心に…
相手を愛おしく思う心に……

涙が出て……


「ゾロっ……ゾロっ、ゾロぉ」
ただひたすら相手を呼んで。


こっちを見て…
助けて……

あなたがすき。




自らの腿を腹に引っ付け、相手の舌使いに、ただただ甘い声を漏らして……

何が何だか、わからなくなって。

体も脳もふやけて…

あぁ気持ちがいい…だなんて。





「ルフィ……」
気が付けば、ギュッと正面から抱き締められていて…

優しいおれだけの微笑みが降ってきて……

「少しは、風呂…気持ちよかったか?」
とそっと濡れた髪をといてくれた。


おれは、訳の分からない溶けた頭で相手の唇にキスをして……



それから、おれはゾロの胸で眠った。








可愛いお前が恐がるものは
俺にとっては心地良いものだから……

感じてほしかったんだ

あぁ…それは……


少し強引な快感。










/あなたの愛に、溶け出す心が火傷して…
2009/12/17




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