早起き*
(新婚設定)
いつもは塩味の卵焼きが
今日は甘くて……
俺はクスリと笑う
ジリリリリと目覚ましが明け方の4時の針を刺して。
俺は隣で眠るルフィを起こさないようにと、急いで目覚ましを止めた。
朝が苦手な俺には珍しい、慌てた目覚めだ。
今日は職場で、今までにない大きなプロジェクト企画の会議がある。その準備のために俺は、こんな早朝からわざわざ起きなきゃならないのだ。
「おはよう」
と微笑んで、愛しい相手の額にキスをする
……はずだった。
「ル、フィ……?」
愛らしい寝顔があるはずの枕は空っぽで、頭が乗っていたのであろう小さな窪みが残っているだけ。
不思議に思うも、トイレだろうと考えた俺は急いで着替えを始める。
今朝はルフィに迷惑をかけるわけにはいかないし、朝食はファーストフードで済ませるつもりだ。その分の時間を考えれば、今の自分に余裕なんてないのはよくわかっていたから。
スーツを着込んで、鞄を手に持つ。ダイニングを抜け、玄関に向かおうとすれば…
「ゾロっ…!」
いつものあの声が俺を呼ぶ。
「朝ご飯食べないの?」
キッチンにはいつも以上に豪華な朝食が並んでいて……
「今日は特別なお仕事なんでしょ?なら、元気付けて行かなくちゃ!」
笑顔の相手に肩の力がストンと抜けて自然に顔が綻ぶ……
「あぁ、そうだな…」
鞄をソファに立てかけて、席に着く。相手が一生懸命煎れてくれたコーヒーを飲んで、ゆったりと朝ご飯を食べる。
朝、外食する予定がなくなったのだから、まだまだ時間に余裕がある。
「ありがとう…ルフィ。」
とエプロン姿の相手を見上げて礼を言う。
「朝早いの苦手だろ?」
クスリと微笑んだ相手は、朝日よりも眩しくて……
「ゾロのためなら、だいじょーぶっ」
俺の背中に抱き付く相手の熱が温かくて…
甘えてくる声が愛しくて……
嬉しくて嬉しくて、苦しいのかもしれなかった。
手渡された愛妻弁当は
桜でんぷん塗れで………
あぁ
お前の愛らしい頬のよう……
/早起きが苦手なアナタに甘いキスで攻撃を。
2009/11/24
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