二人乗り自転車*
(学生パロZL)
ゆらゆら…
例え転けてしまいそうでも…
二人でゆっくり
愛し続けていきたいね…?
「おまたせ」
と微笑むゾロの背中にはもう薄い星がちらつき始め
「じゃあ帰ろう…」
と温かな胸に飛び込むルフィの背中には、まん丸な月が覗いて…
「今週もまた試合?」
とルフィが二人乗り自転車の後ろで、ゾロの背中に顔を埋める…
その腕の中には、竹刀が仕舞われた大きな巾着袋があって…
「あぁ、もう少しで全国大会だし、休むわけには行かねぇからな…」
とハンドルを握るゾロの声は、なんだか少し寂しげで……
「ごめんな…」
と低く優しい声が背中に響いて……
「ゾロ…?」
ルフィが不思議そうに、綺麗な若葉色の後頭部を見つめた
「お前はいつもいつも応援しにきてくれんのに、俺は何もしてやれなくて…」
とゾロがぽつりと呟き、小さくて白い月を見上げた……
「デートだってしてやれないし、帰りもこんな遅くなるまで待たせちまうし…」
ほうっと吐く息は白く濁り、暗くツンした空気に溶けて……
「大好きだから」
ゾロの背中から明るい声が響き、首筋に甘い息がかかる…
「おれは試合を一生懸命してるゾロがすきだ。そのために遅くまでいっぱいいっぱい練習してるゾロもすき。…剣道ばっかりのくせに、おれのこともちゃんと愛してくれるゾロが…おれは大好きだっ」
ゾロの背中にルフィの顔がスリスリと触れ……
触れた部分から熱が広がる…
「それに……」
冬の空気のように凛と透き通った愛らしい声が、小さく小さく囁いて………
「おれがいないと、ゾロの大切な竹刀、持って帰れないだろ?」
とクスリと笑い、竹刀と共に、しっかりとした腰にギュッと腕を回し……
「だから、おれは幸せだよ…?」
冬にしては温かすぎる言葉に、心の雪はふわりと溶けて…
「ありがとな…」
と赤くなった鼻は、冷たい風のせい?それとも温かな愛のせい?
恥ずかしそうにクスリと笑った甘い響きは、ゆっくりと漕ぐ自転車からふわりと散って……
「どーいたしましてっ」
そう言い合えるだけで、自分達は幸せだと心から思えて…
特別なんていらないよ
ただ欲しいのは
ありのままの貴方だけ…
/僕達の恋はまるで、ゆらゆら…二人乗り自転車……
2009/11/18
(茉莉花様「学生パロ(ゾロが剣道部)」)
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