ただ傍に…*
(新婚さん設定)
愛してる
だから傍にいて…
テーブルには少し焦げてしまったハンバーグ、新鮮な野菜サラダに、温められたコーンスープ。
少し奮発して用意したワインに、いつもの2人には不釣り合いな繊細なワイングラス。
エプロンをつけたルフィがおつまみのチーズを運んでくれば、目の前のテーブルに腰掛けていたゾロが微笑む。
「今日はご馳走だな。…上手そうだ」
それを聞きルフィがにっこり微笑んで愛しい旦那様の迎えの席に着けば
「今日はいつも以上に頑張ったから、たくさん食べてな?」
と照れくさそうに甘い声が響く。
幸せそうな笑みを浮かべる二人は、冬の寒空に負けないぐらい暖かで……
お焦げが目立つハンバーグは
2人の愛のように冷めることなく…
香り高いワインは
2人の愛のように真っ赤に輝き…
満足がいくまで、ゆっくりとディナーを楽しんで、流しにお皿を運んでいたルフィが思い出したようにパタパタとスリッパを鳴らし冷蔵庫に向かう……
「まだあるのか?」
とクスリと笑うゾロに
「まだあるよ」
と微笑むルフィも愛らしく…
テーブルの上には鮮やかなフルーツがどっさり詰まったガラスのボール。
まん丸にくり抜かれたメロンやモモに、星形のパイナップル…大粒のイチゴに、ハートに切り抜かれたスイカ……
全てがキッチンのライトに反射しきらきらと輝いて……
「デザートだな…」
とゾロがボールを覗けば、ルフィが一生懸命シャンパンの栓を捻りながら相手の後ろで艶めいた声で囁く。
「まだ完成じゃないよ……」
ポン!という軽い音が響きシャンパンのコルクが壁に跳ねる
しゅわっと溢れた泡が優しくフルーツの中に消えていき…
「今夜のデザート、フルーツポンチっ!」
と明るいキラキラ輝くルフィの声が響く。
「本当はケーキにしようと思ったんだけど、ゾロ甘いの苦手だし……シャンパンなら好きでしょ?」
自分のことを思ってくれるルフィが愛しくて堪らなくて……
そんな愛らしい人の傍に居られることが幸せすぎて……
シャンパンに浮かんだ可愛い小舟にロウソクが揺れて……
Happy Birthday……
という温かな言葉を囁いて…
ロウソクが消える瞬間に願うことなら
ただひとつ……
ずっと共に…永遠に……
ただ傍にいたいと………
/例え世界が滅びたって、ただ傍に……
2009/11/11
(ゾロ愛強化週間フリー小説)
2009/11/15
(配布終了)
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