Beast



マフラー


鉤針で貴方との愛を掬い上げ…

愛しい瞳をじっと合わせて…

腕を絡めて伸びをして……




もちろん、昔から不器用だってことは、自分で重々承知なのだけれど……


それでも、この方法で伝えたいって思ったから。

この方法が一番だと思ったから。


大変だったけれど、何日も何日も女部屋に通って、ナミやロビンに教えてもらって……






「ゾロっ、これ…」
寒い見張り台に座るゾロに、ぐちゃぐちゃでも、頑張って包装した包みを差し出す。

「誕生日プレゼントっ…」



小さく微笑んだゾロはいつも以上に甘く優しい声で
「ありがとう」
とおれを抱き締めた。




2人で丸い月の下、見張り台で毛布にくるまる…


プレゼントを手にとって、大切そうに膝に乗せたゾロが、おれを見て
「開けていいか?」
なんて頬を撫でてくるもんだから、おれは真っ赤になってこくんと頷いて……




ゾロの大きな手が真っ赤なリボンに触れ、さらりと解かれる…

「おっ…」
と明るい声を上げた、ゾロの両手にかかっているのは、紛れもなくおれが編んだマフラーで…

「これ……お前が編んだのか?」

もちろん、下手な編み目を見れば、手作りだって一目瞭然。


精一杯作ったマフラーは、目が飛んだり、段がズレたり…

どこか歪だけれど、ゾロは嬉しそうに首に巻き付けおれを見つめた。


「最高に暖かい…」


その笑みが、おれの心に沁みて…

ぼんやりと体が熱くなった……



ゾロの唇がそっと近付いてきて…

おれは静かに瞳を閉じた……








唇に触れる熱と
顎に触れる毛糸の温かさ

貴方の体温に包まれて……

あぁ……
眠ってしまいたいほど心地良い……










/貴方から借りた、マフラーの匂いが忘れられずに…
2009/11/09
(ゾロ愛強化週間フリー小説)
2009/11/15
(配布終了)




*

[ 59/99 ]

[prev] [next]

Back



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -