ハロウィンナイト
お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ!
キッチンは賑やかなハロウィンパーティー。飲んで歌って大騒ぎ。
「お、寒いな…」
少し熱を冷やそうと、出た甲板は少し肌寒くて…
秋と冬の入り交じった複雑な匂いがした。
お月様はまん丸…
こんな夜は一人酒も悪くない
酒瓶をグイッと煽れば、喉に通る熱が心地いい…
「やっぱり、月見酒は美味いな…ッ!!」
ゆったりと月を見上げて呟けば、背中に優しい温もりが飛びついてきて……
お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ!
ひとりで出て行ったゾロの背中にルフィが勢いよく抱きついて…
酒気を纏った甘い声で相手に囁き……
「ほら…これでいいのか?」
予想もしていなかった展開に瞳をパチクリさせるルフィの目の前には、愛らしいカボチャお化けの棒付きキャンディ……
「こ、れ…」
「お菓子をやらなきゃ悪戯されるんだろ?」
と驚いている相手を見つめれば、自らの胸に小さな体を、ぎゅっと抱き寄せ……
甘く…
優しく…
とろける声で……
「お菓子をくれなきゃ悪戯するぜ?」
ハッと顔を上げたルフィの瞳にはニタリと笑うゾロの顔。
しまったっと思う反面、「悪戯」という言葉に今夜のベッドでの甘い時間を想像し、真っ黒な瞳がやんわりと濡れる……
「ゾ、ロ……」
なのに、なのに、
今夜の魔獣は意地悪で……
ルフィの脇腹にふんわりと
ゾロの手が触れ…
まるで少女のように
高い可愛らしい声が夜空に響いた……
夜の空気に少し冷えてきた体に、ゾロの大きくて温かな手がコソコソと這い、ルフィがゾロの胸に顔を埋めながら、息を荒げ、いつも以上に明るい声で、ジタバタと体を揺らして笑う
「や…めっ……降参っ…降参ぅっ」
と鼻にかかった声に、涙が溜まった瞳に見つめられれば止めないわけにはいかなくて……
体中を蜘蛛のように這っていた、ゾロの手がそっとルフィの背に回され、ぎゅっと抱きしめる…
「意地悪っ…」
と甘ったるいルフィの声が響くと、ピトリと甘い感覚が広がって…
パンプキンパイよりも
もっともっと温かくて甘いキス…
今の仕返しは
ベッドの中で…
なんて可愛い言葉……
あぁ…
お菓子なんていらないよ
ただ
お前だけが欲しいんだ……
さぁ……
続きはベッドの中で……
/あぁ…たくさん私の血を吸って?愛しい愛しいドラキュラさん?でも今夜だけよ……今夜は特別なハロウィンナイト…
2009/10/31
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