エプロン*
ふわふわとエプロンが揺れ
パタパタと聞こえるスリッパが止み
俺の胸に小さな体が飛び込んで…
「おかえりなさぁい!!」
と抱き付き、柔らかな唇を寄せてくる可愛い可愛い奥さんに、今日は素敵なプレゼント。
「なぁに?これ。」
嬉しそうに大きな包みをギュッと抱き締め、俺を見上げる真ん丸な瞳は、キラキラ輝いてまるで幼い子供のようで……
「さぁな?」
と意地悪く答えてルフィを抱き上げれば、ゆっくりとリビングへと移動する。
ソファに2人で座り、どきどきとプレゼントを覗く愛らしい相手に
「開けていいぞ。」
とクスリと笑みが零れる。
中から出てきたのは、数日悩みに悩んで選んだ、赤色チェックのエプロンとスリッパ。
「可愛いエプロンっ」
とニッコリ微笑み胸にエプロンをあててみせるルフィに、内心「良かった」と安堵の息を付き、細い肩を抱き寄せる。
「気に入った?」
「とっても!」
ほんわか桃色の相手の頬を撫でながら、手に提げていたもう一つの紙袋をルフィに見せる。
「じゃあ、これは?」
「これ…って……」
パチクリ、大きな瞳に映るのは、緑チェックのエプロンとスリッパ。
もちろんどちらもルフィの物より少しサイズが大きくて……
「俺のな。」
と緑のエプロンを出して、自らの胸にあてて驚く相手におどけて見せる。
「似合う?」
にっと笑う俺を見て、ルフィがクスリと笑うと俺にギュッと抱き付いて……
チュッと鼻先に甘い甘いキスをして……
「なんで、エプロン買ったの?」
と胸の中から愛らしい声が尋ねる。
「ほら、週末一緒に料理の練習するだろ?」
と優しく優しくルフィの頬を撫でて……
「お揃いの方がルフィが喜ぶかと思ってさ。」
輝く瞳がユラリと揺れて……
艶めく唇がふっくらと開き………
「ありがとう…ゾロ…」
甘い甘い愛する人の息が、俺を包んで…
「もっとお料理上手になるからっ」
どうしようもなく可愛い相手を
抱き締めて…
どうしようもなく愛おしい相手に
深く深くキスをして…………
「上手くなんてなるなよ……教えるって言う口実がなくなるだろうが……」
潤んだ漆黒の瞳を見つめ、優しく相手を抱き締めて………
「おれが上手くなったら、今度はおれがゾロに教えてあげるから……」
小さな愛らしい笑い声が耳元で響いて…
すきだよ
愛してる
料理しているなんて口実…
本当は貴方の傍に居たいだけ……
ねぇ……
貴方なら……
私を美味しくしてくれるでしょう?
/エプロン姿の貴方を見ていられるのも、私だけの特権なの。
2009/09/21
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