Beast



死んじゃう*


あぁ…
ドキドキが止まらなくて…

貴方の、その、濡れた瞳が……
苦しいの……






「今日は、一緒に入ろうか?」
と、大好きな旦那さまに聞かれれば、真っ赤になったルフィはこくりと頷いて……



モクモクとたつ、湯気に浮かぶ、逞しい背中が愛しくて…

おいで…と広げる腕が、恋しくて……



「ゾロ…」
甘えた声が、白いバスルームに響く。

ゾロが、優しい笑顔で、ルフィを見つめて…

「どうしたんだ?ルフィ…甘えた声なんか出して…」

そっと抱き締めてくれる。


直に伝わる体温が、心地良くて…

そっと、髪を撫でてくれる手が、温かで……






2人で向かい合って、湯船に浸る。


雪のように白いバスタブは、2人で入ると、少し窮屈だけど、気になんかしない。


「お湯熱い?」
真っ赤な顔をしたルフィを見て、ゾロがそっと尋ねて……

「大丈夫…」
ルフィの長い睫がふるふると震えた。


ふわりと抱き締められる。

湯船の中でお互いを感じる。


「ルフィ…ドキドキしてる…」

ゾロがくすりと笑って、ルフィの背中を撫でた。


「心臓が、飛び出しそうなほど、ドキドキするっ…」

ゾロを見つめる、ルフィの瞳は、まるでブラックパールのように艶やかで……

少し尖らせた唇は、桃色をして、ふっくらと柔らかで……



ゾロの手がそっと、ルフィの胸に触れ……

「じゃあ、心臓が飛び出さないように、お口にフタ。」


ぴと……

と唇が触れて……


静かに離れた…



ルフィは驚いたように、目を見開いて……






ぽたり、と涙した。






「ルフィ…?」
驚いたように、ゾロがルフィを覗いて……

ホロホロと落ちる、宝石は、浴槽の水をユラユラ揺らして…



「どうしたんだ?キス…やだった?」
ゾロがしっかりと、ルフィを抱き締めて、よしよし、と頭を撫でてやる。


ルフィがふるふると、首を横に振って…

ゾロの胸に顔をうずめた……





「死んじゃう…」
ルフィの愛らしい声が、小さく、呟いて……






「幸せすぎて……死んじゃいそう……」


と、わんわん、声を出して泣いた。



ゾロが、愛おしそうに笑って…

「恐がらなくても、ずっと一緒にいてやるよ…だから……」


ゾロの優しい声が、耳元で響く……


「今は、幸せだけを感じとけ……」


ゾロはルフィを、ぎゅっと抱き締めて、静かに唇を合わせた……




バスルームから、甘い甘い声が洩れて………

それも…

やがて………


シャワーの水音に邪魔されて。








あぁ……
貴方への愛で……

このバスタブを
満たしてしまいましょうか?










/あぁ…貴方にそんなに愛されたなら…きっと、私は、死んじゃうわ…
09/04/08


*

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