甘い誘惑*
柔らかな肌に色付く口元…
揺れる睫に潤んだ瞳が…
「ただいま…」
と玄関を開ければ、パタパタと駆けてくる、愛しい奥様。
「おかえりー」
嬉しそうに、笑顔を煌めかせ、ルフィがゾロにギュッと抱き付いて…
おかえりなさい、のキス。
ゾロが、ふと気付いたように、ルフィの首元に顔をうずめて…
「甘い匂い…。」
と小さく呟く。
そんなゾロの髪を、よしよし、とふざけたように撫でて
「明日、ウソップの誕生日パーティーするだろ?だから、ナミとケーキ作ったんだぁ。」
にっこりと笑うルフィは、ほんのり甘いチョコレートの香り。
ゾロがそっと体を離して、ルフィを見つめる。
「美味そうだ…」
ゾロの手が、ルフィのふっくらと柔らかな頬を撫で、温かな瞳が、甘い誘惑を振り撒く、愛らしい恋人を映して…
「ゾロったら、まだ、ケーキ見てないのに…」
クスリと笑うルフィの唇に…
そっとゾロのそれが重なって…
「俺が食いたいのは、お前だよ…。ルフィ。」
細い手首を掴んで、壁へと押し付ける。
「ゾロ…?」
不思議そうに、見つめてくるルフィの、白い首筋に、ゾロがカプリと噛み付いて…
「ふにゃ…」
温かな指が、シャツの襟首をズラして、綺麗な鎖骨が露わになって…
「すきだよ、ルフィ…」
首から肩から、胸にかけて、赤い華が、たくさん舞って…
「ゾ、ロぉ…」
ルフィの柔らかな腕が、ゾロの背中にキュッと回されて…
「どうした?ルフィ…」
すりすりと体を寄せてくる、ルフィの頭を優しく撫でてやりながら、ゾロが尋ねる。
「食べるなら、もっと、ゆっくり……ベッドが、いい…」
潤んだ瞳にそっと口付けて、甘く香る恋人を抱きしめて…
ベッドという名のスポンジケーキに沈んだ。
この甘い香りは……
飴玉のような瞳から?
桃色の頬から?
チェリーのような唇から?
僕が調べてあげようか…?
/貴方の呟きで罠にかかると、わかっているのに…私は何度だって捕まってしまうの。そう、貴方の視線は…甘い誘惑。
09/04/04
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