桜*
外の寒さが感じられないほど、車の中は温かくて……
細く開いた窓から、そっと冷たい春風が流れて……
細い手首がシートへと押し付けられて、2人で深いキス。
はらはらと、窓ガラスに桜の花びらが降ってきて……
まだ蕾の多い桜の木の下…
車内をお互いの熱で満たして…
そっと唇が離れれば、黒髪がサラサラと揺れて
「もっと…」
とチェリーのような、ルフィの唇から、甘い甘い言葉が洩れて、ゾロの首筋にすりすりと小さな顔がうずまって。
「愛してるよ…ルフィ…」
囁かれる声は春の木洩れ日のように温かで…
桜の幹のようにしっかりとしたゾロの腕が、ルフィを抱き締めて…
静かに唇が重なって……
甘い桜の香りが
するような気がして……
まだ開いてもいない
幼い桜を眺めて……
何も言わず
春風と共に抱き締めて…
/桜色のその頬が、俺にとっての媚薬だって、君は気付いてる?
09/04/02
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